院長室

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デトックスの季節?!

昼間は随分と気温が上がり、そろそろ梅雨の足音も近づいて

来ています。一般的に汗をかく季節は老廃物を排出しやすい、

つまりデトックスに向くと言われますが、その真偽は?

 

栄養療法でもデトックスという単語は使います。そして発汗に

よってそれを成し遂げるということも間違いではありませんし、

確かにこの季節は向いていると思います。ただ注意点が2つ

あります。

 

まずはデトックスの経路。身体に不要なものを排泄するには

当然その排泄経路が必要ですが、その最大の経路は排便です。

夏だから発汗しやすい、運動して汗をかいてデトックス!は

間違っていませんがデトックスの本流ではないのです。まず

は腸内環境を整えて便通を良くするのがデトックスの一歩目

です。

 

そして2つ目。発汗はデトックス経路の一つですが、不要な

ものだけでなく必要なものまで排泄されてしまうという不利

な点もあるということです。これからの季節、熱中症や脱水

のニュースが増えると思いますが、これに大きく関わる問題

ですね。屋外での仕事や岩盤浴、ホットヨガ等の発汗過多に

なりやすい場面では、必ず水分とミネラルの補給をセットに

せねばなりません。

 

デトックスを考える時、この腸内環境と水分ミネラルの補給

を並行して考えることがとても重要です。さらに、不要なもの

を排泄しやすい形態にしてくれるのは肝臓ですので、肝臓が

疲れていてはそもそもデトックスも不調になります。飲酒や

薬剤の過多は肝臓を疲れさせますし、食の乱れもまた肝臓に

不要な負担をかけます。

 

この季節がデトックスに向いているのは確かですが、それを

成功させるためにはこの時期だけ頑張ってもダメなんですねぇ。

ここでも腸管や肝臓が基本になるのです。

2020年5月14日 木曜日

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漢方薬解説-13 小柴胡湯

前回の抑肝散解説で柴胡(サイコ)という生薬が登場しました。

柴胡+釣藤鈎は緊張をほぐす作用がありましたが、柴胡には

もう一つ、重要な効能があります。それを体現するのが今回

紹介する処方です。

 

・小柴胡湯(ショウサイコトウ 9番)

構成:柴胡7g+黄芩3g+半夏5g+人参3g

+大棗3g+甘草2g+生姜1g

 

また変な改行の仕方してますが、下段は消化吸収を助ける常套

配合で、これまで紹介した方剤では葛根湯なんかにも同様に配置

されていて、麻黄などの副作用があり得る生薬を用いる場合や、

ある程度長期に服用することが想定される方剤に組み込まれます。

 

小柴胡湯のメインは上段の柴胡+黄芩(オウゴン)で、この組合せに

抗炎症作用があり、これが柴胡のもう一つの側面です。特に気管

や消化管、肝臓の炎症が得意なので、気管支炎や胃腸炎、肝炎

など、とても応用範囲が広い薬です。この組合せをメインに持つ

方剤は数多く、一般に柴胡剤というグループとして紹介されます。

 

小柴胡湯は柴胡剤の中でも生薬数が少なく、応用範囲も広いこと

から過去に濫用され、結果多くの副作用報告がありました。その

せいで今でも危険な漢方薬という認識がありますが、濫用すれば

どんな薬だって副作用はありますから、正しく使用すれば別段

危険ではありません。小柴胡湯のみならず、柴胡剤で注意する点は

柴胡には「乾かす」作用があることです。抗炎症という魅力的な

効果に目を奪われ、乾燥に留意しないと副作用のしっぺ返しを

喰らうことになるんですね。例えば既に脱水傾向がある方には

そもそも柴胡剤の適応はありません。

 

「小」があれば「大」もあるわけで、柴胡剤のグループには

 

・大柴胡湯(ダイサイコトウ 8番)

構成:柴胡6g+黄芩3g+半夏4g+芍薬3g

+枳実2g+大黄1g+大棗3g+生姜1g

 

なんて薬もあります。漢方薬の名称上の「大・小」は身体への

影響力により使い分けられますので、この8番の方が9番よりも

影響が大きいということになりますが、それは大黄(ダイオウ)が

配合されていることに起因します。大黄は下剤成分を含むので

少量であっても身体に変化を来しやすいということでしょう。

 

芍薬+枳実(キジツ)+大黄とすることで腹痛や便秘に効能を発揮

しますから、9番の守備範囲を広げた薬、と見る事もできます。

敢えて8番から大黄だけを抜いた「大柴胡湯去大黄」なんて

のも保険漢方薬であります。ウチでは採用してませんが。

 

柴胡剤はまだ重要処方があるので、次回も柴胡剤の中から紹介

したいと思います。あ、次回予想してた人、すんません。あ、

そんな奇特な人いないか。(笑)

2020年5月11日 月曜日

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今こそ、栄養を

今年ばかりは “ゴールデン” にほど遠い連休でしたが、いかが

お過ごしでしたでしょうか?ウチはそこまで長い休みでもなく、

僕も生粋の出不精(笑)なのでほぼ生活に変化はありません

でした。

 

自粛要請を守った影響は感染抑制に一定の効果をもたらしたと

見て良い状況ですが、経済的逼迫は緊急度が増している印象です。

経済を立て直すためにも、自粛効果を無駄にしないためにも

ある程度の緩和基準を明示する時期でしょうね。大阪府 vs 政府

なんてやってる場合ではありますまい。政府の言いがかりのよう

にも見えますが。(^ ^;)

 

さて連休を含めたこの自粛期間の食事はどうでしたか?休校や

テレワークの影響もあり、常に食事の用意をしなければならない

お母さん方には頭が下がる思いですが、つい簡単な糖質メニュー

にしていることもあるのではないかと思います。簡単だけど

糖質に配慮したメニューが求められますね。

 

例えばパンを食べるにしても食パンよりはフランスパンの方が

糖質は少ないですし、可能であればふすまパンや米粉パンを

選択すると良いですね。具材もジャムやフルーツではなく、

卵などのタンパク質が良いですね。もちろんマーガリンはNG

です。アボカドやレバーペーストなんてオススメですよ。

具材だけ用意して子供たちに自分で作るように促す作戦(?)

もアリやね。

 

子供も大人も疲れやイライラが溜まってくるので、それらを

運動などで解消するのは歓迎すべきことですが、土台となる

栄養が不足していては非効率的です。そもそも栄養不足では

運動する気にもならんかも。(^ ^;)そういう意味でも脳の

栄養を優先的に考えたいです。脳は脂質の塊です。脂質代謝

を後押しすることが、疲れやイライラだけでなく、安定した

睡眠、さらには学力向上にも繋がるでしょう。

 

まずは青魚に多く含まれるEPA、DHAがテッパンでしょう。

ただこれらω3系脂肪酸は、サラダ油などに多いω6系脂肪酸

が多ければ効果が半減しますので注意が必要です。亜麻仁油

もω3系に分類されますがEPA、DHAに変換されてこそ

効果を発揮するため直接的なものではないと認識する必要

があります。

 

あとこれも王道のビタミンB群。脳は燃費の悪い臓器でもある

ので、エネルギー切れに弱くエネルギー産生効率が落ちると

すぐにてっとり早い糖質を求めます。ビタミンB群をしっかり

補充しておくことでエネルギー効率を維持でき、間接的に

脂質代謝を高めます。ビタミンB群は豚肉ですね。エネルギー

変換効率の良い中鎖脂肪酸を含むココナッツオイルを勧める

のもこういう理屈です。

 

まあ結局いつも言っていることに落ち着くので既に伝統芸の

ように感じている方もみえるでしょうが(笑)、正しいことを

知っていても実践が伴わなければ当然効果はないので、節目に

ご進言申し上げ奉り候うわけです。伝統芸っぽいしょ?浅はか。

2020年5月7日 木曜日

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昼、食べてます

1日何食がいい?論争は以前からあり、僕は都度「人それぞれ」

と回答してきました。例えば副腎疲労の方はエネルギー維持が

困難なことが多いので少量頻回食が良かったりしますし、過食

で腸内環境が悪い方には腸を休ませる意味で週末のみのプチ

断食を勧めることもあります。

 

で、僕はここしばらく食事は夕食のみで、朝と昼はMCTオイル

とギーバター入りのコーヒーだけでした。コーヒーもチコリー

にしてみたりして。通勤もないし肉体労働でもないのでエネルギー

摂取過剰にならないように、と腸内カンジダ増殖があるので

腸内環境改善の目的がありました。MCTオイルはケトジェニック

な代謝にする目的です。

 

特に不調はなく、たまに外出した時は昼食も摂っていました

けど空腹が我慢できない、ってこともなかったので継続してた

のですが、定期的に行っている血液検査でコレステロールと

フェリチンがかなり低下!必須アミノ酸はサプリメントで

摂っていたのですがタンパク不足傾向になっていたのです。

気持ちは少年だと思っていても(オイ)今年で46歳ですから、

身体は異化亢進になるでしょうし、同化のためのエネルギー

代謝も落ちるでしょう。

 

有機酸検査ではカンジダの活動レベルは低下していたので、

方針転換してしばらく昼食を摂てみることにしたんですよ。

タンパク不足なので、豆腐や魚をメインにしてます。味付けは

ぬちまーす使用で。たまに全粒粉小麦で作ったピザなどを

試しているので、今回の連休にでも持続血糖検査をしてみよう

かなと思っています。

 

かように、栄養療法に正解はありません。目的は身体を作り

変えることですが、そこにたどり着く方法は本当に千差万別

です。かと言って、あまり根拠なく様々な方法を選択すれば

却って不調を招くこともあります。だからこそ分析が重要に

なるんですね。連休は食生活が乱れやすいです。コロナの

影響が被ればなおさらですね。引き締めましょう!

2020年4月30日 木曜日

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漢方薬解説-12 抑肝散

世界的に自粛が続く中、にわかにDVや虐待が問題視され始めて

います。日本ではそこまで重大になっていませんが、医療従事者

への差別や、県外からの来訪者への攻撃、パチンコ店に行く人の

つるし上げ、など方向性は同じのような気がします。背景には

漠然とした不安やイライラが潜むのではないでしょうか。

 

さて、今回取り上げる漢方薬はそんな精神的緊張状態に対する

ものです。

 

・抑肝散(ヨクカンサン 54番)

構成:柴胡2g+釣藤鈎3g

+当帰3g+川芎3g+茯苓4g+蒼朮4g+甘草1.5g

 

変なところで改行してますが、下段の生薬はこれまで何度も出て

きた生薬ですね。これらに緊張緩和の効能はありません。上段、

柴胡(サイコ)+釣藤鈎(チョウトウコウ)の組合せにその効能があり、

本処方のコアとなっています。

 

緊張緩和作用があるので、54番が活躍するのはストレス関連

症状であることは確かです。イライラして眠れないとか、炎症が

ないのに痛みやかゆみが続くとか、音や光にひどく過敏になる

とか…。ストレス関連症状は増えていますから、54番を処方

する機会も増えていますが、認知症や発達障害に使用される場合

があるようです。ダメではないですが、これらそのものを治すわけ

ではなく、キレて暴力をふるうとか、思い通りにいかなくて癇癪

を起こすとか、あくまで緊張が強い症状にのみ効果があると認識

すべきです。

 

もちろん下段の生薬に適合するかも重要です。下段の生薬はよく

見ると当帰芍薬散(23番)とそっくりですね。ということは

過敏緊張状態に伴って血流や水分代謝が悪い時ほどよく効く、

と言えます。また23番との合方はほとんどの生薬が重複する

ので相性が良い、とも言えますね。

 

54番には派生処方があります。

・抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ 83番)

構成:抑肝散+陳皮3g+半夏5g

 

派生いうか、陳皮(チンピ)と半夏(ハンゲ)を追加しただけです。

陳皮も半夏も吐き気や腹満などの消化器症状を改善する生薬

なので、ストレスで食欲が落ちるとか、気持ちが悪くなる場合

にはこちらが選択されます。54番は加害者になり得る人に、

83番は被害者になってしまった人に、なんて使い分けを

教わったことがありますが、まあそれは参考程度に。(^ ^;)

 

また、54番は実証向けで83番は虚証向けなんて解説もあり

ますが、これはやめた方がいいです。実とは「過剰」なことで

虚は「不足」を示しているだけで、“何が” 過剰なのか不足なのか

は分かりません。「実、虚」だけでは目的語が無いので処方

選択の手掛かりとはなりません。

 

日本漢方では実証=体格がよい、虚証=痩せている、と判断する

傾向があるので注意が必要です。そう、25番と23番の使い

分けでも紹介した落とし穴にはまる可能性があるわけです。

まあ54番と83番はほとんど変わらないので誤用しても大した

問題は起きませんが。

 

54番は使いやすく応用範囲も広いですが、それは“気” の緊張と

“血” の不足、“水” のアンバランスを1剤で補正できるからで、

ストレスの万能薬、というわけではない点に留意しましょう。

2020年4月27日 月曜日

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