院長室

« 8月 2020 9月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

漢方薬解説-20 その他の参耆剤

十全大補湯と補中益気湯が参耆剤の双璧であると紹介しました。

胃腸の機能を回復させることは “気” の増幅に繋がるので、漢方

医学ではとても重要な位置づけとなっており、この2剤以外

にも保険で使用できるものが数種あります。若干マニアックに

なるので、人参と黄耆の配合量だけ記載します。

 

・清暑益気湯(セイショエッキトウ 136番)

…人参3.5g+黄耆3g

・加味帰脾湯(カミキヒトウ 137番)

…人参3g+黄耆3g

・清心蓮子飲(セイシンレンシイン 111番)

…人参3g+黄耆2g

・半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ 37番)

…人参1.5g+黄耆1.5g

 

補中益気湯が人参4g+黄耆4g、十全大補湯が人参3g+黄耆3g

ですから上2剤は参耆剤として引けを取らない効能を持つこと

なりますね。136番は夏バテに、137番は不眠に、なんて

紹介されますが、胃腸機能低下が条件です。下2剤はそれぞれ

頻尿、頭痛に使用されます。参耆剤としての効果は落ちますが、

配合意図を知っておくべきです。

 

我々が使用する保険漢方エキス剤は便利である反面「不要な

生薬を抜けない」という弱点があります。本来漢方は必要生薬

を足していく方式ですが、既にできてしまったエキス剤からは

引くことができません。上記4剤も人参+黄耆以外の生薬が

不要、もしくは邪魔になることもあるので、使いやすくはない

のです。

 

よし、じゃあ作っちゃお!ってことで、極力不要な生薬を含ま

ない合方なんてのを紹介しましょう。

 

・六君子湯(リックンシトウ 43番)

構成:人参+茯苓+半夏+陳皮+蒼朮+大棗+甘草+生姜

・防已黄耆湯(ボウイオウギトウ 20番)

構成:黄耆+防已+蒼朮+大棗+甘草+生姜

 

43番は以前紹介しました。人参は4gです。20番は黄耆が

5g配合されている上に、蒼朮以下は43番と共通なので、合方

しても実質生薬が2つ追加になるだけです。それでいて参耆剤

としては最強クラスになるのです。消化器系に特化した合方と

言えますね。イエーイ。

 

これはほんの1例ですが、生薬構成を知るとこういう芸当も

普通にできるようになります。面白いですね。面白いですね?!

強要。(笑)

2020年7月27日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ

感染拡大

全国的なコロナウィルス感染者数の増加で、また自粛なのか?!

とか、GoTo とか言ってる場合じゃねー!とか、夜の街はイカン

とか、にわかに騒がしくなっております。

 

ウチとしても健康教室再開のタイミングでやめてよね、と言った

ところです。(^ ^;)メディアは危機感を煽るような内容が多く、

国や県の対応を非難する場面が散見されます。報道が事実を

伝えることを主目的とするなら、恣意的な誘導はアカンわけです

けど、まあ視聴者を獲得する仕事、の側面もあるのである程度は

仕方がないのかな。

 

とすると、我々は情報を与えられる立場ではなく、こちらから

求める立場でないと、知らず間違った行動に出てしまうかも

知れません。ネットなどができない高齢者を情報弱者と表現

する向きもありますが、これは決して年齢だけによるものでは

なく、受動的か能動的か、という情報に対する態度の問題では

ないかと思います。

 

コロナウィルス感染症はまだ不明な点も多いです。当初は気温

が上がれば収束するなんて言われてましたが、現状そんなこと

は言えないですね。東洋人に感染者、重症者が少ない理由も

分かっていません。そうこうしているうちにウィルスが変異して

また違う性質を獲得してしまうかも知れません。

 

では一律また自粛!とやってしまっては経済活動停止による

死者が出てしまうことも学習しました。そう、未知のモノと

相対する時は学習が大事です。この数ヶ月で得た知見をフルに

活用して誰も死なせないようにすることが一番大事なはずです。

自暴自棄にならず、事実を冷静に個々人で分析する姿勢が求め

られます。例えばこんなサイトは事実だけが網羅されており、

分析に有用です。こういった事実を踏まえれば、至近距離での

会話ではマスク装着を徹底し、手洗いを怠らないようにして

経済活動を続ける、が正解かと思います。重症化のリスク群

は加えて人混みを避ける工夫が必要でしょう。

 

栄養学的な対処はさておき、情報との付き合い方を確立

させることは極めて重要です。それがそのまま安心に繋がる

と思います。

2020年7月20日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ

なぜ健診をしないか

血液検査を勧めるのに、なんで健診はしないのよ?とたまに

チクリと言われることがあります。まあ別に嫌味ではなく、

単純に疑問に感じるのだろうと思いますし、ごもっともな意見

だとも思います。

 

健康教室に参加頂いている方にはくどい内容だと思いますが、

これには理由がありまして。健診は国の事業ゆえ自己負担なく

行える面では大変ありがたい仕組みなのですが、だからこその

縛り事項も多いのです。特に栄養療法実践医からすると、非常

に検査項目が少ない。これで精確な診断をするのは無理があり

ます。

 

また健診の判定は「基準範囲」によって評価されます。基準

範囲からの逸脱が大きいほど判定は悪くなるわけですね。この

基準範囲というのが曲者で、検査会社の社員の平均値から作成

されるため、会社によってバラツキがあります。それでも

「A」判定なら間違いないやろ、と思われるかも知れませんが

それは社員さんの平均値と同じ、と言ってるだけで必ずしも

正常!と言っている訳ではないんですね。

 

以上2点により、健康診断の “診断” が非常に心許ない、という

ことになるのがウチが健診をしない理由です。ついでに言うと、

もしも判定が悪かった場合、「指導」をしなければいけない

のですが、これまた厚労省の推奨する食べ方でなければいけま

せん。そこでは「炭水化物6割」が理想とされていますので、

まあ相容れないわけですよ。(^ ^;)

 

診断の精確さが揺らげば、疾病を見逃したり薬剤の過剰投与に

繋がったりします。決して患者さんの利益になりません。そう

言う意味では栄養療法的な分析は、完璧ではないにしろ精確さ

では遥かに上です。ここが一番の売りと言っても過言ではない

でしょう。というわけで、健診の結果を見せて頂く場合はあり

ますが、こちらから健診を勧めることはありません。

 

ただ、乳癌や子宮癌検診、胃カメラや大腸カメラなど血液検査

以外のものは有用ですので、施行できる場合にはお勧めしてい

ます。

2020年7月16日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ

漢方薬解説-19 補中益気湯

今回は、前回紹介した十全大補湯(48番)と双璧をなす

参耆(人参+黄耆)剤である補中益気湯です。こちらも非常に

有名な漢方薬ですが、48番と双璧をなすからなのか、

今ひとつ使い分けがしっかりなされていない側面もあります。

構成を見てみましょう。

 

・補中益気湯(ホチュウエッキトウ 41番)

構成:人参4g+蒼朮4g+甘草1.5g+大棗2g+生姜0.5g

+柴胡2g+当帰3g+陳皮2g+黄耆4g+升麻1g

 

上段はほぼ四君子湯(75番)ですから、胃腸を助ける薬で

あることは間違いありません。48番と共通する部分ですね。

48番ではこれに四物湯と桂皮、黄耆が追加された構成に

なっていましたが、41番では下段が随分違います。ここが

分かれば使い分けも容易になります。

 

ここでポイントになるのが柴胡(サイコ)と升麻(ショウマ)です。

柴胡は抗炎症作用と理気作用がありました。そして升麻は

様々なものを “持ち上げる” 作用があります。と言うことは

41番の精確な適応は消化吸収能力が落ち、それに伴って

炎症がくすぶる、さらに “落ちている” 病態、となります。

具体的に言うと胃腸風邪などの感染症で食欲が戻らないとか、

食欲がなくて気分が落ち込む、なんて場合が良さそうです。

 

胃下垂や膀胱下垂、子宮下垂などの解剖学的病態にも使用

されますが、これは升麻が配合されるからで、やや拡大解釈

かも知れません。柴胡とのタッグを考えると、むしろ精神的

な落ち込みの方が効果が期待できるでしょう。ちなみに

参耆剤としては48番より高用量なので、胃腸症状に対する

効果は48番より優れています。

 

さて、41番を理解する上でもう一つ大事な視点があります。

それは「何が配合されていないか」です。これまでは構成生薬

そのものに着目して効能を理解するよう努めてきましたが、

配合されていないことの意味、というのもあるんですね。

 

41番で敢えて配合されていない生薬、それは桂皮+茯苓です。

これまで何度も登場した組合せですね。「気を降ろす」効能

がありました。これが升麻の効能とバッティングしてしまう

ため41番には入っていないわけです。と言うことは、41番

はめまいや嘔気には向いていない、とも解釈できます。

胃腸系の薬ではありますが、嘔気は適応外なんですね。

 

いかがでしょう?最後は少し難易度が高かったかも知れ

ませんが、処方の理解は構成生薬だけでなく、構成外生薬

からも攻める方が良いぜ、という好例です。頻用処方ほど、

より処方の意図を理解しておくと都合が良いです。(^ ^)

2020年7月13日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ

腹冷えにご注意!

この季節、意外と多い症状が便通異常です。どちらかと

言うと下痢が多いですが、便秘もあります。両方ある場合

もあります。それに伴う腹痛も。

 

その原因の多くは、暑さで冷たい物の摂取が増える、冷房

で腹が冷える、と言った低温によるものです。暑いからと

油断しているわけではないと思いますが、腸は冷えに

弱いんです。冷えで消化吸収能力が落ちれば下痢になるし、

腸の動きが悪くなれば便秘になるし。これに脱水が絡むと

症状は複雑化します。

 

この暑い最中に熱いものを摂れ、というのは拷問だったり

しますので(笑)、少なくともキンキンに冷えた飲み物

とか、冷房下に腹を出して寝る(^ ^;)とかを控えるように

しましょう。苦痛でなければ就寝中だけでも腹巻きをする

のが良いです。

 

腹の冷えは自覚するのが難しいですが、経験的に冷たい

ものや辛いもので腹を壊しやすかったり、最近食が細く

なっているような場合は要注意です。また1日中冷房が

効いた部屋で仕事をする人も留意すべきでしょうね。

食材ではサンショウやショウガが腹を温めますので、

ショウガ湯を飲んだり薬味を工夫したりするのは有用です。

 

もちろん、麺類などの糖質過剰はアドレナリン過剰を

招いて腸は冷え動きも悪くなるので御法度です。ましてや

凍らしたスポーツドリンクなんて恐ろしや。。。(笑)

 

さて、明日から実に5ヶ月ぶりの健康教室が再開となり

ます。来院時の検温や、マスク装着、僕のフェイスガード

など、少し物々しい雰囲気ではありますが、御協力を

賜れれば幸いです。久しぶりでモジモジしてても見逃して

やってください。(笑)

2020年7月9日 木曜日

カテゴリー 院長室

タグ