院長室

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漢方薬解説-29 酸棗仁湯

漢方薬を不眠症に使用することはしばしばありますが、西洋薬

のように催眠作用があるわけではなく、“気” を緩める効能の

結果として寝付きが良くなったり、途中覚醒が減ったりします。

 

・酸棗仁湯(サンソウニントウ 103番)

構成:酸棗仁10g+茯苓5g+川芎3g+知母3g+甘草1g

 

生薬5種類のみのシンプルな構成なので、速効性が望めます。

主役である酸棗仁(サンソウニン)に緊張をほぐす作用があります。

「仁」という文字がある生薬は植物の種なんですが、種には

総じて潤す作用があり、酸棗仁も潤すことで緊張を緩めます。

と言うことは、緊張と乾燥が併存している場合によく効く、

ってことですね。

 

同じく、知母(チモ)や甘草にも潤す作用があり、また茯苓は

水分代謝を改善する作用がありました。川芎は血流改善の

生薬でしたね。緊張すると口が渇くことは日常的に経験され

ますが、それに加えて眠れない、なんて時に使用する漢方薬

ということになります。同じような効果効能を持つのが、

 

・甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ 72番)

構成:小麦20g+甘草5g+大棗6g

 

です。こちらも生薬3種類なので速効性が期待でき、また

全ての生薬が甘いので小児でも飲みやすく、重宝します。

子供の夜泣きや、癇癪なんかに使われてきました。実際、

子供が夜ちゃんと眠るようになってお母さんが楽になった、

なんてエピソードはよく聞きます。

 

副作用も無く、飲み易いので漢方薬の中では安心度が高い

部類なのですが、実は小麦(ショウバク)はその名の通りコムギ

なのでグルテンを含みます。つまりグルテンで不調を来す人

にはNGとなります。乳児の場合はそれが不明だったりする

ので、処方に少し躊躇してしまう薬でもあります。

 

以前紹介した「柴胡(サイコ)」という生薬もイライラなどを

抑えるので不眠症に応用されたりしますが、身体を乾燥

させるため酸棗仁とは逆の効能を持つことになります。併用

する際には知っておいた方がいいでしょう。また、睡眠薬は

通常眠前に服用しますが、漢方薬の場合はあくまで緊張を

緩める目的ですので、1日3回服用します。もちろんそれで

日中眠くなって仕事が手につかない場合は眠前でもいいです

けどね。(実話 ^ ^;)

2020年11月5日 木曜日

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