院長室

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漢方薬解説-24 桃核承気湯

漢方医学は “流れ” を重視する医学なので “不通” 状態を嫌い

ます。“不通” って何じゃい?!と思われるかも知れませんが、

日常的に見られます。それが便秘です。

 

・桃核承気湯(トウカクジョウキトウ 61番)

構成:大黄3g+芒硝0.9g+甘草1.5g+桃仁5g+桂皮4g

 

便通が2〜3日に1回くらいだとあまり便秘と捉えない方

もいると思いますが、不通嫌いの漢方界では立派な便秘に

カウントされます。ゆえに下剤系の漢方薬は意外と多く存在

します。特に大黄(ダイオウ)と芒硝(ボウショウ)のコンビは

頻用される組み合わせです。

 

中でも61番が最もメジャーでしょう。甘草と桃仁(トウニン)

は共に潤す効能を持つので、便を軟らかくすることに寄与

します。また不通の原因は「気」の巡りの悪さなので、気を

降ろす効能を持つ桂皮を配合することは合理的です。

 

桃仁が血の巡りを改善する効能も持つので、桂皮と合わせて

更年期のイライラやほてりに良い、とされますが当然便秘が

ある人向けです。便秘が無いのに61番を飲めば下痢します。

これは副作用ではなく診断ミス。ただ、前述のように自分

では便秘と思っていないケースもあるので、便通についての

問診が重要になります。

 

61番以外にも「承気湯」という名が付く薬があります。

61番の前半3つの生薬だけで構成される調胃承気湯

(チョウイジョウキトウ 74番)、大黄+芒硝+厚朴+枳実で構成

される大承気湯(ダイジョウキトウ 133番)です。大黄+芒硝

が共通しているので、承気湯=大黄+芒硝と思われがちです

が、ちょっと違います。「気」は下腹部で滞ることが多く、

それを改善することを「承気」と表現してるので、必ずしも

大黄+芒硝である必要はありません。例えば、保険薬には

ありませんが、小承気湯(ショウジョウキトウ)は芒硝を含みま

せん。つまり大黄こそが「承気」のキモってことですね。

 

あくまで「気」の巡行が目的であって、便通を良くすること

だけに拘泥しているわけではない、というのが意外と重要な

ポイントです。そういう意味で「承気湯」という命名は気が

利いていると思います。承気だけに。漢方ジョーク。

2020年9月10日 木曜日

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