院長室

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漢方薬解説-22 大建中湯

漢方医学では体幹部を上・中・下と3つに区切り、それぞれ

上焦、中焦、下焦、と表現します。中焦はだいたい横隔膜から

ヘソくらいまでのことで、機能的には消化吸収能を指します。

なので、処方名に「中」という漢字があれば胃腸に効く薬なの

かな、とアタリを付けることができます。補中益気湯とかね。

 

・大建中湯(ダイケンチュウトウ 100番)

構成:人参3g+乾姜5g+山椒2g

 

とてもシンプルな構成ですね。「中を大きく建て直す」という

名称からも分かる通り、胃腸機能改善に特化しています。構成

生薬すべてが温める効能を持つので、冷えがあることが使用の

前提となります。冷えて便秘する、とか冷えて腹痛、とか。

 

実はこの漢方薬、外科領域で頻用されています。特に開腹術後

の腸管麻痺に。開腹術後は腸の動きが低下するので、いきなり

食事を再開できないのですが、100番を使用すると復帰が

早いんですね。この理由はまさに開腹術では腸が冷えるから、

です。100番で強力に腸を温めることで腸管麻痺を改善させて

いるわけです。山椒(サンショウ)のせいで少しピリッとした味が

しますが、副作用もなく速効性がある使いやすい漢方薬です。

 

小柴胡湯と大柴胡湯があったように、こんな処方もあります。

 

・小建中湯(ショウケンチュウトウ 99番)

構成:桂皮4g+芍薬6g+甘草2g+大棗4g+生姜1g+膠飴10g

 

名前はソックリでも構成は全く違いますね。そしてよく見ると

この構成は桂枝湯(45番)です。桂枝湯の芍薬を増量した

のが桂枝加芍薬湯(60番)で、さらに膠飴(コウイ)を足した

のがこの99番、という見方ができます。膠飴はその名の通り

飴(あめ)で味は甘く、気を静める作用があります。

 

飲み易く、気を静めるので昔から小児の夜泣きなどに頻用

されてきましたが、あくまで「建中湯」なので消化器系に

作用するのが本態です。膠飴以外は60番ですから、特に

腹痛によく効きます。

 

さて、100番と99番を合体させると「中建中湯」という

名前になります。冗談みたいなホントの話。(笑)保険薬

にはないですが使う場面は結構あったりします。ちなみに

以前紹介した人参湯(32番)は別名、理中湯(リチュウトウ)と

言います。お腹を整える、という意味でしょうか。お腹を

建てたり整えたり、と漢方は「中」をとても重要視して

いますね。

2020年8月20日 木曜日

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