院長室

« 9月 2020 10月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

漢方薬解説-10 当帰芍薬散

漢方薬解説も10回目となりました。今回は第7回で紹介した

桂枝茯苓丸(25番)と対比されることの多い当帰芍薬散です。

これもまた婦人科疾患専用の漢方薬のように宣伝されますが…。

 

・当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン 23番)

構成:当帰3g+芍薬4g+川芎3g+蒼朮4g+沢瀉4g+茯苓4g

 

一般的に知られる効果効能は25番と同じく、生理の不調や

更年期にまつわる諸症状に対してです。ではどう使い分けるかと

いうと、25番ががっちり体型イライラタイプで23番は

やせ型で冷え乾燥タイプ、だそうです。漢方を学びはじめの頃は

僕もそう教わりました。でもこういう使い分けはやめた方が

いいです。

 

生薬構成から見ると6つの生薬のうち前半の3つは補血薬で

後半の3つは利水薬です。つまり貧血傾向でむくみやすい方に

適応があるということです。25番は “気を降ろし” て “血の

滞りを解除する” という構成でした。これらの症状は併存し

得ます。上述のような使い分けだと「23番 or 25番、さあ

どっち!?」(笑)みたいなことになりがちですが、全ての

症状を有していれば併用した方がいいわけです。

 

確かにどれも女性に多く出現する症状ではありますが、だから

と言って女性専用薬ではないですし、ましてや23番と25番

を相対させる意味はあまりありません。実際に脳出血では脳が

虚血になりむくみます。この程度によって後遺症にも差が出ます

から、初期治療に23番+25番というのは大いにアリです。

 

当帰(トウキ)と川芎(センキュウ)は共に血を巡らせて下腹部痛を

取るという効能のためよくセットで用いられます。この23番

もそうですが、代表となる漢方薬が四物湯です。

 

・四物湯(シモツトウ 71番)

構成:当帰3g+芍薬3g+川芎3g+地黄3g

 

23番の前半3つに地黄(ジオウ)を加えた構成です。地黄も

補血作用があるので、71番は補血薬だけで構成されることに

なります。皮膚の乾燥や四肢の冷えなども血の巡りの悪さと

捉えるので、71番は様々な漢方薬に配合されています。ただ

地黄は胃部不快も出やすいので投与は少し慎重になるべきです。

23番は71番から地黄を抜いて利水薬と合体させている、

と解釈することもでき、使いやすくするために先人が工夫した

のかな、と思いを馳せたりもします。

2020年4月6日 月曜日

カテゴリー 院長室

タグ