院長室

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漢方薬解説-8 桂枝加朮附湯

直接痛みに対抗する漢方薬として比較的メジャーな処方です。

もちろん、どんな痛みにも効くわけではありません。この処方が

得意とする痛みとは…?

 

・桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ 18番)

構成:桂皮4g+芍薬4g+甘草2g+大棗4g+生姜1g

+蒼朮4g+附子0.5g

 

上段は桂枝湯(ケイシトウ 45番)です。桂枝湯に蒼朮と附子を足して

いるのでこの命名となっています。処方解説2回目で紹介した葛根湯

も桂枝湯に麻黄と葛根を足した構成でしたね。45番流に言えば

葛根湯は「桂枝加麻葛湯」とでも言い換えられるでしょうか。

 

と言うことは、この処方の個性は蒼朮(ソウジュツ)と附子(ブシ)で、

まさにこの2つに鎮痛効果があるのです。蒼朮は水分バランスを

調整し、附子は温める効果が強いです。なので、桂枝加朮附湯が

威力を発揮する痛みはむくみや冷えがある場合となります。逆に

関節が赤く腫れて痛いとか、熱感のある場合は使ってはいけません。

風呂に入ると痛みが楽になるとか、夕方になると足がむくんで

痛む、という場合が適応となります。

 

附子には嘔気や動悸といった副作用もあり得るので、一応少量から

始めるのがベターです。桂枝加朮附湯に0.5gと少量であるのは

このためです。問題が無ければ附子の粉末が単独で処方できるので、

寒い季節は追加することが多々あります。

 

この蒼朮+附子を配合している漢方薬は他にもあります。

・真武湯(シンブトウ 30番)

構成:茯苓4g+芍薬3g+生姜1.5g+蒼朮3g+附子0.5g

 

5種類の生薬構成ですが、実に4つが18番と同じです。茯苓

(ブクリョウ)が配合されている分、より水分代謝改善効果が高い処方

です。一般には下痢の薬なんて思われていますが、構成から見れば

痛みに使えますね。18番と近似構成なので合方にも向いています。

 

冬になると痛みが強くなる、あるいは夏場でも冷房で悪化する、

なんて場合は西洋薬の痛み止めは冷やす作用があるため不向きです。

そうなると18番+30番の独壇場です。それほど飲みにくくない

ので患者さんにも嫌われず(笑)、重宝しています。

 

それはそうと、昨日配信された「ルミネtheよしもと配信寄席」

徳井さん復帰後初舞台となったチュートリアルの漫才は泣けた。

期間限定配信らしいので、今のうちに是非!(^ ^)

2020年3月16日 月曜日

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