今月の健康教室のテーマは熱中症ですが、早速ニュースでも熱中症
による搬送者の増加を取り上げています。高校野球の開会式で倒れた
とか無念なケースもあり、もうそろそろ各業界で根本的な取り組みを
すべきなのでは、と思います。
さて、そんな熱中症の対策としては水分・ミネラル補給が第1である
ことは言うまでもありませんが、意外と漢方薬にも対応できる処方
があるんです。有名どころでは清暑益気湯(セイショエッキトウ)ですかね。
その名の通り、暑さを和らげる薬なんですが、この処方はどちらか
と言うと消化吸収を助ける効果がメインなので、暑さで食欲が低下
した場合に用います。
配合されている生薬のうち、五味子は止汗に麦門冬は滋潤に働きます
ので、熱中症に使えなくもないですが、「冷やす」効能は弱いので
病名だけでチョイスしてはいけません。一方、ガッツリ「冷やす」
のが白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)という処方です。この薬には
石膏、知母という生薬が配合されており、これらが身体を冷まします。
さらにその名の通り人参をはじめ、粳米、甘草を含むので、身体に
水分を保持する方向にも作用します。つまり、脱水と発熱両方によい
と言うことになり、いわゆる熱中症にはこちらの方が効き目があると
思います。清暑益気湯に比べ構成生薬数も少ないので、切れ味も
勝るはず。
また高齢の方はそもそも脱水傾向になっていることが多いので、
六味丸(ロクミガン)を使用して日常的に体内に水分を保持するように
しておくと予防効果が高まるかも知れません。これからまだまだ
暑くなるでしょうから、漢方薬も使って様々な方向から熱中症
対策をしましょう。