院長室

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熱中症にも漢方薬?

今月の健康教室のテーマは熱中症ですが、早速ニュースでも熱中症

による搬送者の増加を取り上げています。高校野球の開会式で倒れた

とか無念なケースもあり、もうそろそろ各業界で根本的な取り組みを

すべきなのでは、と思います。

 

さて、そんな熱中症の対策としては水分・ミネラル補給が第1である

ことは言うまでもありませんが、意外と漢方薬にも対応できる処方

があるんです。有名どころでは清暑益気湯(セイショエッキトウ)ですかね。

その名の通り、暑さを和らげる薬なんですが、この処方はどちらか

と言うと消化吸収を助ける効果がメインなので、暑さで食欲が低下

した場合に用います。

 

配合されている生薬のうち、五味子は止汗に麦門冬は滋潤に働きます

ので、熱中症に使えなくもないですが、「冷やす」効能は弱いので

病名だけでチョイスしてはいけません。一方、ガッツリ「冷やす」

のが白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)という処方です。この薬には

石膏、知母という生薬が配合されており、これらが身体を冷まします。

 

さらにその名の通り人参をはじめ、粳米、甘草を含むので、身体に

水分を保持する方向にも作用します。つまり、脱水と発熱両方によい

と言うことになり、いわゆる熱中症にはこちらの方が効き目があると

思います。清暑益気湯に比べ構成生薬数も少ないので、切れ味も

勝るはず。

 

また高齢の方はそもそも脱水傾向になっていることが多いので、

六味丸(ロクミガン)を使用して日常的に体内に水分を保持するように

しておくと予防効果が高まるかも知れません。これからまだまだ

暑くなるでしょうから、漢方薬も使って様々な方向から熱中症

対策をしましょう。

2017年7月10日 月曜日

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