怖いものを否定できたら次に考えるのは、多いもの。つまり
遭遇頻度の高い疾患を疑うというのがセオリーです。TVの
「名医」が聞いたことのない病名を言い当てるのも、それ
までにメジャーな疾患が否定されているから。臆病である
ことの次に重要な資質は堅実であること、かも知れません。
ただ、この「多いもの」というのは単に統計的な根拠だけ
ではなく、季節性や人種、その年ならではの傾向も含みます。
例えば、「頭痛がする」のであればこの時期は必ず脱水は
考慮に入れますし、インフルエンザの流行時期ならば当然
インフルエンザ検査が視野に入ります。
なんか当たり前のような話ですが、ここで妨げになるのが
「専門性」です。西洋医学がどんどん進歩して各分野で研究
が進み、かなり細かいことまで分かるようになったため、
有益なことが増えたのはもちろんですが、反面その分野の
エキスパートになり過ぎて、視野狭窄に陥ってしまう弊害が
あるのです。
僕の例であれば、漢方薬やAKA−博田法と言ったあまり
一般的でない治療法を主に行っているため、つい患者さんの
症状をいきなり「漢方的」「AKA−博田法的」視点で
説明しようとしてしまうのです。なんか難しいこと言ってる
けど実はとても的外れだった、なんてこともあります。(^ ^;)
なので、自分への戒めのためにも「○○療法専門クリニック」
という看板はなるべく掲げないようにしています。「専門」
と言えるほど自信がないってものあるけど。(笑)