「方証相対」、「随証治療」、「虚証」に「葛根湯証」など
漢方の教科書を開くとかなりの頻度で「証」という漢字に
出くわします。しかも「証」が大事なんだぞ!と力説していたり
します。「証」ってなんでしょう?(いや、不可抗力ですよ)
まあ一般の方がここで悩むことはまず無いでしょうけど、
我々医療関係者は結構ここでつまずきます。学生時代に
漢方の講義がないので(現在は若干あるそうです)、就職
してから独学で学ぶ人が殆どなんですが、どの教科書も
「証」を重要視しており、先に挙げたような熟語のオンパレード
なので、せっかくやる気があってもそっと教科書を閉じて
本棚の飾りになることもしばしば。(^ ^;)これはとても
もったいないです。ズバリ!「証」とは「状態」のことです。
「方証相対」とは「方」が薬のことなので、「状態」と「薬」
が対応しているよ、という意味ですし、「随証治療」とは
「状態」に沿って治療をします、という意味です。「虚証」は
「虚」の状態、というだけのことだし、「葛根湯証」というのは
「葛根湯が効く状態」ということなんですね。いやーカンタン
でしょ?
西洋医学は例えば「アトピー性皮膚炎」とか「腰部脊柱管狭窄症」
などの「病名」で薬を決めたりするので、この「状態」で処方を
決めることに慣れていないだけのことです。翻って漢方医学は
常に「状態」ありきです。「アトピー性皮膚炎」でもジュクジュク
なのか、乾いているのか、赤いのか紫なのか…などなど。
そう考えると「方証相対」や「随証治療」が当たり前の言葉に
見えてくるから不思議です。
ドラッグストアや通販でも漢方薬が入手できる時代になり、
利便性は増しましたが、ラベルには「花粉症に」とか「肥満に」
って書いてありますよね。これは「証」を無視しているわけで、
当然効果にバラツキが出てくるわけです。「○○状態にこの漢方!」
なんて発売されたら新しいですね。(^ ^)