栄養療法では血液データから栄養の過不足を推理していくので、
血液検査はかなり重要な柱になります。実はこれは日本独自に
発展した診断法でもあるので、本場アメリカの分子栄養学では
あまり一般血液検査は重視されていなかったりします。
アメリカでは医療保険自体、適応範囲が限られており、栄養療法
も予防医学の範疇でいわゆるセレブの治療、みたいな風潮がある
ようです。日本でも今後、自由診療と保険診療の混合診療緩和が
されていくとは思いますが、保険的範囲内の検査データで栄養
療法に応用できるのはとてもありがたいことでもあるのです。
と、ここまでは実は余談。(笑)血液検査データはとても重要
なので、データが狂わない環境を整えることが大事です。一番
データに影響を与え易いのが食事です。採血時は空腹状態が好ま
しいです。理想的には12時間空ける方が良いと言われますが、
それができるのは夕食後だけなので「朝イチ朝食を抜きで」
なんてよく言われるわけです。「朝食抜いたけど砂糖たっぷり
コーヒー飲んだ」ももちろんNGです。(^ ^;)
それから月経のある女性は、月経時を避けます。出血していると
それだけで鉄のデータが低く出てしまうからです。僕は栄養療法を
学んで初めて鉄の重要性を知りましたが、実はこれも日本の栄養
療法に特徴的なことだそうです。鉄不足は貧血だけでなく、慢性
疲労や冷え、頭痛の原因になるというのは世界共通のような気も
しますが。
あとは検査の頻度ですね。年に1回健康診断してる、なんて方が
大多数だとは思いますが、栄養療法的診断で問題があった場合は、
できれば3〜4ヶ月に1回行います。自覚症状の改善が最も大事
なのですが、客観的指標も傍証として不可欠です。血液データの
変化によっては食事指導やサプリメント内容を変えますし、患者
さん本人のモチベーション維持にも繋がるのでやはりこのくらいの
頻度が望ましいです。