花粉症やじんま疹とは異なる特殊なアレルギーとして、遅延型アレルギーが
あります。IgGという抗体が関与し、抗原摂取後しばらくしてから症状が
出現することから遅延型アレルギーとかフードアレルギーと呼ばれます。
ウチでも数年来この検査を行っており、一時雑誌掲載などで周知されたので
実施された方も多いのではないでしょうか。
この遅延型アレルギーについて昨年、日本小児アレルギー学会が「推奨しない」
という旨の声明を発表しました。IgG抗体はアレルギー症状のない人にも
陽性に出ることがあるので、この検査結果を元に食材の制限をすることは
却って栄養の偏りを招く、という理由です。つまりアレルギー疾患の原因診断
には向いていないよ、ということですね。
実際、僕自身も複数の検査会社でIgG抗体を測定してみましたが、結果は
見事にバラバラでした。そうなると何を除去するのが正解なのか分からなく
なってしまいますよね。なので、日本小児アレルギー学会の主張ももっとも
なのです。
ただ、IgG抗体検査の目的は実は陽性食材を除去することではありません。
腸管のバリア機能の評価がその主たるものなのです。「どの食材が陽性か?」
を見ているのではなく、「何種類の食材が陽性なのか?」を見ています。
低反応であっても多数の食材に抗体が出ている場合は、食材が十分に分解
されないまま吸収されてしまっている証拠で、腸管バリア機能の低下と判断
します。そしてこの状態は常に免疫反応を惹起してしまうので慢性炎症の
原因となり、抗炎症ホルモンが浪費され、結果、アレルギー症状や疲労症状、
うつ傾向を招くのです。
そんなわけで、IgG検査結果を元に安易に食事制限するのは問題ですが、
腸管機能評価には適していると考えています。