症例報告

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本治の薬

・先日「本治と標治」について紹介しましたが、漢方薬が本治の薬、標治の薬、と分類されているわけではありません。一つの薬でも、場面に応じて標治的に使ったり本治的に使ったりします。ただ、それでも本治が得意な薬というものも存在します。最もよく使われるのは補中益気湯という薬です。花粉症などのアレルギー疾患の体質改善に頻用されます。どうも免疫機能を賦活する作用があるらしく、アレルギー疾患だけでなく、「風邪を引きやすい」とか「疲れやすい」といった症状に効きます。なんとも漢方らしい薬です。
・また、補中益気湯に含まれる升麻という生薬は「引き上げる」作用があるので、「垂れ下がる病態」、例えば子宮脱、膀胱脱、脱肛、胃下垂に効果がありますし、「気持ちが萎えてる」状態にも良いです。この薬が効くと「とても食欲が出た」とか「仕事に集中できた」なんて声が聞けたりします。アレルギーにも痔にもいいなんて聞くとアヤシゲですが、とても良い薬です。

2009年3月31日 火曜日

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標治と本治

・やっと少し花粉症のピークも過ぎたみたいです。今年は花粉の量が多いだけでなく、黄砂もあってか症状の強烈な方が多かった印象です。
・さて漢方には標治(ひょうち)と本治(ほんち)という言葉があります。標治とは対症療法、本治とは体質改善などの根本療法、と思って頂ければよいです。花粉症の場合ですと、西洋の抗ヒスタミン剤処方はもちろん標治です。漢方では本治が醍醐味なのですが、症状が強い時には標治の薬に終始してしまいます。何度か紹介した小青竜湯や麻黄附子細辛湯、越婢加朮湯はどれも標治になります。症状のピークが過ぎて落ち着いたら本治の薬に変えていくのが通常です。そうすると来年の花粉症が楽になったりします。症状がないのに薬を飲み続けるのは抵抗があると思いますが、毎年花粉症でひどい目に遭うという方は、是非続けてみて下さい。

2009年3月23日 月曜日

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小青竜湯

・各媒体で最近漢方薬が取り上げられるようになってきました。それは我々漢方を使う医師にとっては喜ばしいことです。今は花粉症シーズンということで、アレルギーに効く漢方薬なんかの特集をちらほら見ます。以前にも小青竜湯という薬は紹介しましたが、少し詳しく解説します。
・小青竜湯という薬はアレルギーの中でも「水っぽい」症状がメインの時に使います。花粉症であれば、鼻水や流涙が主症状の時によく効きます。「知らないうちにサラサラの鼻が垂れる」なんて人は丁度良いでしょう。
寒い所に行くとくしゃみが出て鼻がつまる、眼や鼻・ノドがムズムズするという人には麻黄附子細辛湯という薬の方がよく効く場合が多いです。また、眼が充血する、鼻の粘膜も赤くなって鼻づまり、咳まで出る人には「冷やす」効果を加えた越婢加朮湯という薬が良いです。もちろん例外もありますが、今はこの3剤が大活躍です。