症例報告

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人体実験

久々に風邪をひきまして…。

めったに病気をしないので大した症状じゃないんですが

しんどいです。まあナントカは風邪をひかない、のナントカ

ではなかったと言うことは分かりました。(^ ^;)


で、ここぞとばかりに自分を使って漢方薬の実験。

主症状は鼻汁。しかも水様性なので小青竜湯がまず浮かびます。

まあそれじゃありきたりなので、かねてから小青竜湯の裏処方とされ、

肩身の狭い思いをしてきた苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンミョウミシンゲニントウ)

を使ってみました。

この薬は麻黄という生薬が入っていないので、感冒自体にはあまり

効果を期待できませんが、鼻汁だけならきっと効くハズ…。

うん、確かに「タラ~」とたれる鼻汁は減りました。…が、今度は鼻閉に。

それでは、とお次は柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)にチェンジ。

この薬は感冒から肺炎まで広く呼吸器感染症に適応があるのですが、

これまた麻黄が入っていないので僕はあまり第1選択では使っていません。

で、効果のほどはイマイチ。

ちっ、なんだか体がしんどくなってきたぜ…、やはり麻黄がいるか~。

ってことで定番の葛根湯を。これも普通に使っても面白くないので、

1回2袋を3時間おきくらいに爆撃投下しました。

これは効く。さすが麻黄。

けど、副作用としての口渇が出ましたね。胃の不調が出ると使いにくくなりますが

長期投与するわけじゃないので、口渇くらいなら我慢しよう。

なんだ、じゃあ最初から麻黄湯あたりがよかったのか、という結論ですが、普通

発熱もなく鼻汁だけなら選択はしませんので、いい経験となりました。


こういう実験は同時に使わなければ、正確な判断はできないですが、やはり高齢者

じゃなければ麻黄剤をしっかり使うのがいいんだな、と再認識した次第。

こういう涙ぐましい努力が日々の診療に役だっているのです。(笑)

2010年4月9日 金曜日

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降り続いておりやす

日本人の大多数が真央ちゃんの涙ネタで湧いている所に

全然関係ないネタを。


今日は1日中雨でした。これはズバリ季節の変わり目の証拠で

これから暖かくなるってことで良い兆しですが、人によっては

こういう天気の日ほど調子が悪い場合があります。

例えば、低気圧が来ると関節が痛いとか、雨降りの前の日には

頭痛がするとか…。


西洋医学ではあまり相手にされない症状ですが、漢方的には

歴とした異常です。これは体の水分バランスの変調が原因と

考えられます。

このような症状のある方は、試しに鏡の前で自分の舌を見てみて

下さい。かなりの確率で舌の縁が“ガタガタ”になっているはずです。

さらに、むくみやすい、めまいや立ちくらみがある、なんて症状が揃って

いたら間違いありません。


漢方薬には水分調整をする薬があり、このような症状の方によく使用

します。症状がなくても舌が“ガタガタ”だったら要注意ですよ!

2010年2月26日 金曜日

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頻尿増加中

若い人にはあまりなじみのない症状ですが、超高齢化の日本では

かなりの方が悩んでいる症状です。とくに最近冷えてきたので、

来院される患者さんも増加中です。

もちろん急性に発症した場合や、排尿時痛がある時は膀胱炎が

疑われるので、抗生物質が必要ですが、そうでない場合は漢方薬の

登場です。


一般に、緊張すると頻尿になる場合と、夜間頻尿とで処方が変わりますが

やはり多いのは夜間頻尿です。そして夜間頻尿は想像以上につらい症状です。

漢方薬のメジャーどころでは八味地黄丸、六味丸、牛車腎気丸といった補腎剤

(平たく言うと抗老化薬です)を使用しますが、そうそう一筋縄ではいかない所が

これまたニクい(?)のです。


やはり全身的に、乾燥傾向とか、イライラしてるとか、冷えが強いとかの所見を集めて、

処方を決めなければ効いてきません。最近では、真武湯、滋陰降火湯が効いた症例が

ありました。あるいは補腎剤の1日量を倍量投与!なんて力技が効いた例もありました。


これからまだまだ増える症状だと思います。

 「しっこで何回も起きてかなわんわ~」

 「歳やでしゃあないわ~」

なんて会話を耳にしたら、ニヤリと笑って

 「補腎剤がいいかもよ?!」

と言ってみて下さい。(笑)

2009年11月9日 月曜日

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ダイエット

・夏が近いせいでしょうか、「漢方薬でやせれませんか?」としばしば聞かれます。確かに肥満症に対する漢方薬はあるにはあります。テレビCMでも防風通聖散という薬が内臓脂肪を取ると宣伝されていますがこの薬で効果があるのは「自分の標準より余分なものが貯まっており、なおかつ便秘傾向の人」です。ですから血液検査でコレステロールや中性脂肪値が高く、お通じもイマイチという方なら試す価値はありますが、そうではない方が飲むとかえって下痢になったりします。過去の経験では7kg痩せた人がいましたが、これは稀な例です。
・他にいわゆる「水太り」タイプの方に飲んでもらうような薬もありますが、やはり薬はあくまで脇役です。主役は食べ物の種類と食べ方です。何を食べたらよいかは、それこそ「~ダイエット」として世間にあふれかえっていますから、まずは食べ方を重視するようお話ししています。とにかく「よく噛んで時間をかけて食べること」に尽きます。咀嚼回数を増やすと少ない量で満腹感が得られ、また消化状態も良くなりますから、高率よいエネルギー摂取ができます。かな~り地味な方法ですが経済的ですし(笑)、効果もあると思います。

2009年6月12日 金曜日

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本治の薬

・先日「本治と標治」について紹介しましたが、漢方薬が本治の薬、標治の薬、と分類されているわけではありません。一つの薬でも、場面に応じて標治的に使ったり本治的に使ったりします。ただ、それでも本治が得意な薬というものも存在します。最もよく使われるのは補中益気湯という薬です。花粉症などのアレルギー疾患の体質改善に頻用されます。どうも免疫機能を賦活する作用があるらしく、アレルギー疾患だけでなく、「風邪を引きやすい」とか「疲れやすい」といった症状に効きます。なんとも漢方らしい薬です。
・また、補中益気湯に含まれる升麻という生薬は「引き上げる」作用があるので、「垂れ下がる病態」、例えば子宮脱、膀胱脱、脱肛、胃下垂に効果がありますし、「気持ちが萎えてる」状態にも良いです。この薬が効くと「とても食欲が出た」とか「仕事に集中できた」なんて声が聞けたりします。アレルギーにも痔にもいいなんて聞くとアヤシゲですが、とても良い薬です。

2009年3月31日 火曜日

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