怪我をしたときの治療として、当院では湿潤療法を実践しているわけですが、
キズのない外傷、つまり打撲や捻挫への対処に、湿潤療法は適当ではありません。
こんな時に重宝するのが、治打撲一方(チダボクイッポウ)という漢方薬です。
打撲・捻挫・骨折のときに内出血や腫れを伴うことが多いのは、ご存じの通りです。
これらに対して、いわゆる痛み止めはあまり効果がありません。そして腫れが
引かなければ痛みもなかなか引かないのです。
この内出血や腫れは漢方では「血の滞り」と捉えますので、血流を改善させる薬が
選択されるのですが、この治打撲一方はさらに余分な血を体外に捨てる作用もあるので、
外傷に打ってつけなのです。
実際には、血流改善の代表選手である桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)と組み合わせて
使うことが多いのですが、単独でも効果はあります。
打撲や捻挫は、さもすれば動けてしまうので、十分に腫れが引かないまま動いて
しまい却って不快な後遺症を残すこともしばしば見られます。
受傷当初から、治打撲一方を使っていると、早く腫れが引く分、後遺症の発生も
減少します。