症例報告

« 7月 2024 4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

急性と慢性、局所と中枢

病気の名前って分かりにくいもんです。例えば医師から病気の説明があっても、専門用語だらけだし、病名は長いし複雑だし結局「???」で終わってしまうことも多いようです。医学用語は複雑で覚えるのは苦労しますが、自身の病態を知ることは重要です。そこで手っ取り早いのは「急性か慢性か」、「局所性か中枢性か」という分け方です。急性は最近のもの、慢性はもう何年も続いているものです。局所性とは症状がある場所に原因があるもの、中枢性とは症状がある場所に原因のないものです。

例えば、昨日転んで膝をぶつけて膝が痛い、なんてのは「急性」で「局所性」ですね。逆に、もう何年も膝が痛いけど、レントゲンでは膝に異常はないと言われたし、押しても痛くない、は「慢性」で「中枢性」です。一般に慢性で中枢性の病態の方が治療に時間がかかります。

急性と慢性の区別はそんなに難しくないと思いますが、局所性と中枢性は少し難解かも知れません。局所性は原因がはっきりしていて、炎症所見がしっかりある、移動しない、という条件があります。これらが揃わなければすべて中枢性です。


AKA-博田法や遠絡療法を行うとき、症状のある場所に全然触れない場合が多いのは、中枢の治療をしているからです。また、漢方でも慢性で複雑な病態には、表面に出ている症状ではなく、さらに深い原因を探って処方を決めたりします。これも中枢の治療と言えるでしょう。

踵の痛みや手首の痛みが腰の治療で改善するなんて、「ウソくせー!」と思うかも知れませんが、最近はそういう方の方が多い印象です。慢性、中枢性の病気が増えているのでしょうね。

2009年8月11日 火曜日

カテゴリー 症例報告

タグ

アキレス腱部の皮膚欠損創

5歳の男児。4月下旬、自転車の後部に乗っていて左踵を金具で損傷。他院にて縫合処置を受け一旦は終了となるも、カサブタを形成し、発赤も出現、その後皮膚欠損創となったため当院に来院されました。


もともとアキレス腱周辺部はキズが治りにくいことが多いのですが、この例では恐らくカサブタから細菌感染が起こり、縫合部皮膚が壊死して皮膚欠損となったと思われます。(写真1)

創には硬い壊死組織が付着していたので、可及的に除去し湿潤療法を開始しました。途中、過剰肉芽に対しステロイド軟膏は使用しましたが、消毒薬を含めて他の薬剤は使用していません。約3週間で創のサイズは1/3以下になりました。(写真2)

その後も特に問題なく、普通にお風呂も入ってもらい、ご自宅でも湿潤療法を続けて頂き、治療開始から約6週間で完全に上皮化しました。(写真3)


湿潤療法の特徴として、痛みがないこと、自宅でもできること、が挙げられます。この症例のように、小さいお子さんの場合は特にこの特徴が生きます。処置が痛くて病院にも来てくれなければ、治療は難航してしまうからです。

また、自転車の後部座席で足を怪我するケースは意外と多いです。スポークに巻き込まれたり、金具に挟まったり。まあ、子供が足をバタつかせていたら防ぎようはありませんが、お子さんを自転車に乗せるときは注意してください。


t0523b
写真1 約3cm大の皮膚欠損創。中心の白い物質が壊死組織です。
t0612a

写真2 大きさ、深さ、壊死組織の量すべて改善されています。
t0710b

写真3 上皮化しました。残念ながら、傷痕は完全には消えません。

2009年8月7日 金曜日

カテゴリー 症例報告

タグ

意外と多い

あまり病気という扱いは受けませんが、多汗症に悩まされる方は多いです。中年女性でのぼせやほてりと共に顔に汗をかく場合は、更年期障害と捉えての治療が効果を上げる場合が多いですが、そうでなく、緊張や不安、時には理由無く手の平や足に汗をかく場合は治療に難渋します。特にこの季節は多汗による皮膚のトラブルも増加しますので、患者さんはかなりツライと思います。こういう場合、湿疹の治療をしても汗の調節がうまくいっていなければ、すぐに再発するので根本治療には成り得ません。


こんな時に頼りになるのが補中益気湯です。気力を引き上げる薬として何度か紹介した薬ですが、汗の調節にかけても効果を上げます。汗をかく部位だけアトピーがひどくなる、なんて場合にも効果が期待できます。夏バテで食欲が落ちている時にもよいので、この時期は一石二鳥の優秀なお薬です。

2009年7月18日 土曜日

カテゴリー 症例報告

タグ

かゆみはツライ

・よくかゆみは「一番我慢できない症状」と言われますが、悩んでおられる方は結構います。掻いてしまうとキズになって余計かゆくなるなんてこともありますし、夜中にかゆみで起きて寝不足になる方もいます。漢方でもかゆみに対する薬は数種類あるのですが、バチッと効くことは少ないです。かゆみは皮膚だけの問題ではなくて、それこそ内面を映す鏡だと思います。だからこそ治療も難しいのでしょう。
・その中でも効果があった症例を。20代の女性で長年じんま疹で悩んでいます。皮膚科からは抗アレルギー剤の内服と、悪化した時のステロイド内服を処方され、なんとか小康状態を保っています。この方には、当帰芍薬散という薬と柴胡桂枝乾姜湯という薬を処方しました。どちらもかゆみの薬ではないのですが、体質や診察所見から決めました。これがなかなか効いて、今ではステロイド不要、抗アレルギー剤を減量してもじんま疹は出ていません。まだ経過は追って行かなくてはいけませんが、困っていた症状がなくなって患者さんと一緒に喜びました。じんま疹のような難治な病態に立ち向かえる漢方薬はやはりすごいなと思います。

2009年6月19日 金曜日

カテゴリー 症例報告 院長室

タグ

ダイエット

・夏が近いせいでしょうか、「漢方薬でやせれませんか?」としばしば聞かれます。確かに肥満症に対する漢方薬はあるにはあります。テレビCMでも防風通聖散という薬が内臓脂肪を取ると宣伝されていますがこの薬で効果があるのは「自分の標準より余分なものが貯まっており、なおかつ便秘傾向の人」です。ですから血液検査でコレステロールや中性脂肪値が高く、お通じもイマイチという方なら試す価値はありますが、そうではない方が飲むとかえって下痢になったりします。過去の経験では7kg痩せた人がいましたが、これは稀な例です。
・他にいわゆる「水太り」タイプの方に飲んでもらうような薬もありますが、やはり薬はあくまで脇役です。主役は食べ物の種類と食べ方です。何を食べたらよいかは、それこそ「~ダイエット」として世間にあふれかえっていますから、まずは食べ方を重視するようお話ししています。とにかく「よく噛んで時間をかけて食べること」に尽きます。咀嚼回数を増やすと少ない量で満腹感が得られ、また消化状態も良くなりますから、高率よいエネルギー摂取ができます。かな~り地味な方法ですが経済的ですし(笑)、効果もあると思います。

2009年6月12日 金曜日

カテゴリー 症例報告

タグ