院長室

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「アリータ」/「ギルティ」

今回もまた真逆な2作品の紹介です。しかしながらどちらも希有な映画

体験ができる快作です。

 

まずは日本の漫画「銃夢」が原作のSFアクション映画、「アリータ

バトルエンジェル」です。そもそも映画化の企画自体は25年も前に

あったそうで、諸事情で延期になっていました。その主因は技術的な

問題だったようで、企画が再始動したのは技術革新が進んだ証でも

あるのでしょう。

 

で、CMの段階では主人公の少女の造形に批判があったのですが、実際に

観てみるともう最初っから人間かと見紛う動きと表情で、きゅんきゅん

です。あ、これが萌えなのか。(笑)CGの技術もとんでもないですが、

実際に俳優さんが演じているのを細部までキャプチャーする技術もまた

凄く進歩したためだと思います。

 

ま、正直ストーリーは多分にご都合主義なのですが、そんな些細なこと

はどうでもよくなるくらいに映像に圧倒されます。アバター以来の体験

と言えるでしょう。あ、制作はそのジェームズ・キャメロンさんですわ。監督は

と言うと、みんな大好き(?)ロバート・ロドリゲスさん。グロ部分は控えめ

ですが、外連味はたっぷり。ナイス。しかし本作では完結しない!のが

最大の失点でしょうか。僕は原作未読ですが、それでも途中で「あ、

コレ終わらんヤツやん。」って思ったもん。ラスボスに超有名俳優さん

起用してるし、何部作か知らんけど先に言ってや〜。

 

そして問題はほとんど宣伝されていないデンマーク映画「ギルティ」です。

いわゆるワンシチュエーションスリラーで、シーンは1室のみ、俳優さん

もほぼ1人がずっと画面を占有します。制作費なんて「アリータ」の

1000分の1以下だろうに、同じくらい圧倒されるのだからセンス

ってすげえ、と思わせてくれます。

 

緊急ダイヤル受付に左遷された警察官が、ある女性からの誘拐救出依頼

コールを受けることから始まります。少ない情報から何とか彼女を救おう

と四苦八苦するのですが、すべて電話越しなので、つまり我々観客も

「音」に集中することになるし、電話を受ける主人公の細かな表情の

変化にドギマギします。

 

とにかく、演技も脚本も演出もウマい。監督さんはこれが長編デビュー

作だとか。天才か。まあセンス勝負の映画なので実際に観てもらうしか

ないですが、こういう作品に出会うとえらく得した気分になりますな。

早々にハリウッドリメイクが決定したそうですが、その際にはこの原作

にもスポットライトを当てて欲しいものです。ちなみに原題は「Den

skyldige」でデンマーク語(?)で「犯人」と言う意味だそうですが、

奇跡的に邦題の方が良かったと思います。公開が終わらぬうちに是非。

 

2019年3月7日 木曜日

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