冷え症に悩む方は多い上に、西洋医学では適当な処方が
ないので、自然この分野は漢方薬の独壇場になります。
では、何が効くのか?
一般的には冷えにはショウガが良いとされます。これは
正しいのですが厳密には乾燥させた「乾姜」が温補作用
を有します。生の「生姜」はどちらかと言うと吐き気の
薬になります。「乾姜」の分量が多い漢方薬ほど温める
効能が高いことになりますね。
例えば大建中湯という漢方薬は腸の薬と認識されています
が、乾姜が非常に多く配合されているので、そもそも冷え
のある方向き、というか冷えがなければあまり効かな
かったりします。半夏白朮天麻湯という薬は唯一、生姜と
乾姜が両方配合されていますが、効能の差が分かれば
納得できます。
さて、乾姜は温補作用はありますが、冷えの原因治療
というわけではありません。「気」に問題があれば
補気薬との併用、「血」に問題があれば補血薬、「水」
に問題があれば利水薬、という風に原因治療になり得る
生薬との組合せを考えて処方選択をします。ここが
漢方薬の妙味です。逆に言うと、配合される生薬を
知らないで漢方薬を処方するのは使いこなせない原因に
なります。