週刊新潮のネガティブ記事があったから、と言うわけではない
ですが漢方薬の良い側面もお伝えしましょう。(笑)整形外科
領域に限らず、意外と急性期にも適応があるのです。
花粉症時期に小青竜湯を使用したり、風邪の時に葛根湯を使用
した経験がある方は体感されていると思いますが、漢方薬は
決して速効性がないわけではありません。そもそも感染症対策で
考案されたものですから、始まりは急性期対応のための薬です。
整形外科領域で急性期疾患というと捻挫や骨折などの外傷ですね。
これにも結構漢方薬は活躍します。僕の場合はほぼ全例に使用
しています。それは漢方薬が好きだから、ではなくて西洋薬に
ない効果が期待できるから、これに尽きます。
外傷の場合は大なり小なり出血が伴います。出血した部分は
腫れて熱を持ったり、痛みが出たりしますね。西洋医学的には
冷やすこと、安静にすること、固定すること、挙上すること、
を軸に治療が始まりますが、ここで有用なのが漢方の “駆瘀血
(くおけつ)” という考え方です。
腫れや内出血が持続すると痛みも引きにくいのですが、西洋薬
には痛み止めはあっても腫れ止めや内出血改善薬はありません。
一般に「血液サラサラ」と言われている薬剤なんか良さげですが、
実際には血液を固まらせなくしているだけなので、内出血の時
には逆に使ってはいけない薬です。
駆瘀血薬はそういう作用なく、早く腫れや内出血を引かせる
効能があるので、西洋医学的な基本方針に加えると治療期間が
短く済む、という寸法です。もちろん週刊誌の記事にあるように
副作用に注意するのは当然ですが、西洋医学的治療の補完になる、
というのは極めて有用なことでもあります。