院長室

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ネット de 診療

最近「遠隔医療」なるワードが業界を賑わしています。これは

医師と患者が直接会わなくても行える医療のことで、たとえば

過疎で病院がない地域での医療や、高齢で受診がままならない

場合などに有効であると考えられています。

 

現在でもレントゲンの読影などは診察時間以外に行われていたり

するので、この遠隔医療は診断部門から進んでいくのが自然で

しょうね。例えば血液検査だけ行う施設を作り、そこに検査項目

などの指示を持参し検査、そのデータが医療機関へ自動的に送られ

結果を患者さんは自宅でネット経由で見られる、とか。

 

これだと患者さんの待ち時間が減り、看護師の雇用にも繋がり

確かにメリットがありそうです。逆に医師に質問できない、医師

の診断力の差が出にくいなどの問題も出そうです。つまり非常に

画一的な医療になってしまう、という側面があります。

 

診察については、モニターを介して診察ができるようになれば

かなり実際に近い環境になりそうですが、患者さん側にネット

が完備されている必要がありますし、医療サイドからは回転が悪く

なるとの声が出そうです。

 

保険が破綻寸前で、少子高齢化、人口減少に歯止めがきかない現状、

医療はゆるやかにこのような方向にシフトしていくと思いますが、

それが成功するかどうかは、医療界が民間業者の介入を許せるか、

が鍵になると思います。医療者は僕も含めて経営や流通、ネット

技術には疎いものです。これらの総合力が必要なこの時代に、医療者

だけで改革していくのは不可能です。それこそ既得権益の囲い込み

状態になっていては、結果は火を見るよりも明らか。どうか柔軟で

俯瞰的な思考を持ってより良い環境作りを議論して欲しいものです。

 

ちなみにネットの情報を見てサプリを買ったり、薬を自己中止したり

するのは遠隔医療とは言わないのでご注意を。(笑)

2017年8月17日 木曜日

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