院長室

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血液検査の舞台裏

栄養療法では血液データを重要視して、自覚症状などと

合わせて栄養状態の把握を進めるわけですが、そのために

血液データの“クセ”を知ることが大事です。

 

まず血液データは当たり前ですが「血液中の濃度」です。

栄養素は細胞の中に入って仕事をするので、本当に知りたい

のは「細胞中の濃度」です。でもそれを知ることは現状

できないので、細胞から放出された物質の濃度を手掛かり

として栄養素の過不足を推理しているのです。血液中と

細胞中の濃度に差がないものほど信頼度が高いと言えます。

 

それから血液データには「基準値」がつきもので、これを

もとに「判定」が下されます。ただ、この基準値は普遍的

なものではなく、健康であるという前提の検査会社の社員

さんのデータから作られるので、「基準値内=正常」では

ないと思った方がよいです。

 

そして採血方法。血管が出にくい人の腕をパンパン叩いたり、

採取した試験管を乱暴に振ったりすると血球成分が壊れて

データが変わってしまいます。また、長時間保管することで

血糖値が変化したりもするので、採取したら提出まで日を

またがないのが原則です。

 

そうして出てきた検査の結果は、全ての項目に上昇する要因と

低下する要因があります。もしも同時に両方の要因があれば、

上がって下がるのでとても良い数値に見えてしまいます。

 

これらを考慮して慎重に読み解くのが栄養療法では基本の

読み方になります。難しいですが、色々なことが分かるので

血液データを基準値に入ったかどうかだけで判断するのは

とてももったいないことです。

 

2016年11月7日 月曜日

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