どんな事柄にも良い側面と悪い側面があるし、そもそも
2次元以上の世界では見えない部分が必ずあるもの。
つまり我々が認識するものは何でも二面性があってしかる
べき、なわけです。
そしてその不都合な部分を「裏」なんて言ったりするので、
イメージとしては「裏」は悪いことのように感じます。でも
「裏番長」と言うと何か大物っぽいし、「裏技」と言うと
効果抜群っぽくも感じますが。まあそれは余談。(笑)
漢方医学の評価にも「表裏」というパラメータがあります。
患者さんを見て「表」だの「裏」だの言うことになるので、
聞きようによっては感じ悪いことこの上ないんですが(^ ^;)
これは先の二面性とは全く違います。
漢方医学で言う「表裏」は「病変の深さ」を意味します。
「表」は浅い位置、「裏」は深い位置のことです。例えば
皮膚に赤みがあったら、「表」が病変部位ということに
なりますし、胃腸風邪のように感染性腸炎であれば、それは
「裏」に病変があると表現します。もちろん「裏」に震源地
があって、症状は「表」に出ている、という場合もあります。
この「表裏」を評価することで使用する生薬が変わったり
するので、意外と重要な要素なんです。特に風邪などの
感染性疾患の場合は、「表裏」が診断の要になると言っても
過言ではありません。そしてその「表裏」を見分ける時に
脈を触ったり、舌を診たりしているのですね。
ちなみに有名な葛根湯と言う薬は、「表」の病変に用いる
薬なので、当然胃腸風邪には効きません。ガッテンして頂け
ましたでしょうか?…まさか、これが言いたかっただけ!?