院長室

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裏と表

どんな事柄にも良い側面と悪い側面があるし、そもそも

2次元以上の世界では見えない部分が必ずあるもの。

つまり我々が認識するものは何でも二面性があってしかる

べき、なわけです。

 

そしてその不都合な部分を「裏」なんて言ったりするので、

イメージとしては「裏」は悪いことのように感じます。でも

「裏番長」と言うと何か大物っぽいし、「裏技」と言うと

効果抜群っぽくも感じますが。まあそれは余談。(笑)

 

漢方医学の評価にも「表裏」というパラメータがあります。

患者さんを見て「表」だの「裏」だの言うことになるので、

聞きようによっては感じ悪いことこの上ないんですが(^ ^;)

これは先の二面性とは全く違います。

 

漢方医学で言う「表裏」は「病変の深さ」を意味します。

「表」は浅い位置、「裏」は深い位置のことです。例えば

皮膚に赤みがあったら、「表」が病変部位ということに

なりますし、胃腸風邪のように感染性腸炎であれば、それは

「裏」に病変があると表現します。もちろん「裏」に震源地

があって、症状は「表」に出ている、という場合もあります。

 

この「表裏」を評価することで使用する生薬が変わったり

するので、意外と重要な要素なんです。特に風邪などの

感染性疾患の場合は、「表裏」が診断の要になると言っても

過言ではありません。そしてその「表裏」を見分ける時に

脈を触ったり、舌を診たりしているのですね。

 

ちなみに有名な葛根湯と言う薬は、「表」の病変に用いる

薬なので、当然胃腸風邪には効きません。ガッテンして頂け

ましたでしょうか?…まさか、これが言いたかっただけ!?

2016年8月25日 木曜日

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