皆さんは美味しいものを最後に残す派?それとも先に食べ
ちゃう派?僕はどちらかと言うと後者ですかね。でも大事
なのは好みで食事を決めないってことですよね。それじゃ、
今日はこの辺で!
…なわけなく。僕たち医療者は新患を診るときにある習慣
があります。それは「まず致命的な疾患を想定する」という
こと。例えば「動悸がして息苦しい」という主訴の患者さんが
みえた場合、歩いて受診できているわけですから「うーん、
貧血かな?」と決め打ちしがちなんですが、この主訴で
恐ろしいのは心臓の虚血性病変です。心筋梗塞とか、狭心症
ですね。
もしも「軽い貧血かな」程度の感覚で鉄剤だけ処方して帰宅
させたら急変して…なんてことも可能性としてはあるわけです。
ですから頭の中では「もし虚血性心疾患だったらどんな所見
があり得るか」と考えながら質問したり診察したりしている
のです。基本、コワイものを常に念頭に置くという、ある種
臆病であることが医療者としては重要なんですね。
特に研修医レベルでは経験も診断スキルもないので、怖い
疾患を除外することに全力を挙げ、もし的外れだったらそれは
それで良しとしよう、が基本姿勢です。毎回こうでは過剰
診療の誹りを受けるわけですが(^ ^;)、ベテランになっても
やはり思考パターンは変わりません。たまにTVで「誰にも
分からなかった診断をズバリ言い当てる名医」的な番組を
やりますが、「誰も分からなかった」という経緯があるから
除外診断ができている、というアドバンテージが既にある
ので、そんなに驚くことでもなかったりします。
さて、巷であふれる様々な健康の話題、我々の力不足だから
こその結果とも言えます。「CMでやってる○○を試したけど
ダメなので受診しました。」なんてパターンもあるのですが、
やはり順番としてはプロの診断を受けてから、というのが
間違いがないかと思います。我々の仕事は、薬の処方は従で
あり正確な情報を伝えることが主でありますから。