湿潤療法をやっていると、その目的が「傷跡を残したく
ないから」という理由の方が結構みえます。確かに
湿潤療法はそういう効果もありますが、それは副産物と
捉えた方がいいかも知れません。
湿潤療法の本質は「正常の創傷治癒機転を邪魔しないこと」
に尽きます。キズは適度な湿潤環境で治りやすく、消毒薬
やガーゼ被覆はそれを阻害します。それらを考慮した結果
としてキズの治りが良い方法、ということになります。
なので、そもそも深い傷だとか、経過中に感染を起こした
など組織損傷が重度であればやはり湿潤療法でも傷跡は
残ります。消毒やガーゼは組織損傷を招くので、比べれば
当然湿潤療法の方がきれいだとは思いますが、厳密に同じ
キズで比較することはできないので、それは経験的な見方に
なります。
では何か湿潤療法以外にできることはないか。それは
遮光と皮膚の代謝改善でしょう。これから日差しが強く
なりますから紫外線の影響も増大します。上皮化したばかり
の皮膚は紫外線で色素沈着を残すことがあるので、約2ヶ月
は何らかの遮光をした方がいいでしょう。
そして皮膚は人体の中でも新陳代謝が激しい臓器なので、
毎日多くの栄養を必要としています。それらが不足して
いれば代謝も悪くなるのは自明。皮膚の材料としての
タンパク質、加工する道具としての亜鉛や鉄、ビタミンC
やビタミンBはケガをしたからこそしっかり補給すべき
です。まあ僕くらい修行が進んで達観すると顔も尻も同じ
ようなもんなので(笑)、上皮化したら放っておくかも
知れませんけども。南無。