院長室

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「ヘイトフル・エイト」

タランティーノ監督最新作。吹雪の山荘に閉じ込め

られたワケあり8人が織りなすミステリー、みたいな

触れ込みですが、そこはそれ、タランティーノですもの、

な作品(笑)デス。

 

確かにこれまでとちょっと違ってミステリー色は濃い

です。会話が多いのが彼の作品の特徴ですが、今回は

意外と無駄な(^ ^;)台詞は少なく、伏線になるように

練られています。お?!成長したじゃん、と思うと

見事にヤられます。ネタバレ厳禁の作品なので言え

ませんが、まあ見事にやりたいことやってます。ゾンビ

が出てこないだけで、結局あとはいつも通りという

安定感(?)。

 

R18指定なのですが、それ以上に単純に不快な描写が

多いです。クールな知能戦のミステリー、だけは期待

してはなりませぬ。本当はその裏切られ感も計算されて

いる脚本でしょうから、こうレビューしちゃうのも

反則なんでしょうけど、でも折角の映画鑑賞の時間、

不愉快になりに行く必要もないしね。なんと3時間

近くあるのよ、今作。タランティーノ好きには苦になる

どころか微笑ましい時間なんですが、まあ常軌を逸して

いますからね、彼は。こう言われて好奇心に勝てない人

は向いてます。(笑)

 

主演のサミュエル・L・ジャクソンさんやカート・ラッセル

さんは流石の演技です。みんなヒゲ面で見分けが付かない

と思いきや、胸焼けするくらい個性が濃いので問題なし。

紅一点のジェニファー・ジェイソン・リーさんはアカデミー

賞の助演女優賞にノミネートされてましたが、まあ

差別用語連発のこの作品が公の場で賞賛されるような

ことはないでしょうな。

 

と散々ネガティブキャンペーンを張ったようですが(笑)

いつもながら監督のオリジナリティは賞賛に値します。

オメーも映画好きなんだな、というのが痛いほど分かる。

実際に調べてみると今作の作製にも緻密な調査と、撮影や

音楽へのこだわりと、ファンサービスに溢れています。

名優といわれる人達がこぞって出演したがるのも分かり

ますね。最近は洋画は続編やリメイク、邦画は人気漫画の

映画化、と「私、失敗するのコワイですから!」と

言わんばかりの風潮が流れていますが、こういう破天荒な

独自路線こそむしろ映画界を発展させるものと思います。

 

全く万人受けしないどころか積極的に勧めたくない作品

ですが、でも映画って本来こういうモンだぜ、と再確認

できるのは貴重です。おすぎでした。

 

2016年3月3日 木曜日

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