院長室

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ヘルニア持ちなもんで

数年来の腰痛を主訴にお見えになる方の中には

こう言って半ば諦めている場合があります。昔、腰の

ヘルニアと診断されて、付き合っていくしかないよ、

悪化すれば手術だよ、と刷り込まれているんですね。


これは大きな誤りで、そもそも腰椎椎間板ヘルニア

の主な症状は下肢の痛みしびれです。腰痛ではありま

せん。ヘルニアが圧迫する神経は下肢の知覚や運動

を支配するからです。レントゲンしかなかった時代は、

椎間板の高さが減っているのをヘルニアになって

いるんじゃないか、と推測していたに過ぎません。


MRIが臨床導入されてから、直接的に神経圧迫の

状態を評価できるようになりましたし、またヘルニア

があっても無症状の人が多数いることも判明しました。

なので、真の腰椎椎間板ヘルニアの症例はむしろ

マイナーで、決してメジャーな疾患ではないという

ことです。


MRIが有用なのは間違いないのですが、それによって

過剰な診断治療がなされていることもまた事実。最近

では腰部脊柱管狭窄症が流行り(?)です。例えMRI

で脊柱管が狭くなっていても、その部位の神経症状と

マッチしなければヘルニア同様無症状のものと判断

すべきで、手術は治療の選択肢にならないはずです。


軽はずみな診断は患者さんを無用な思い込みに誘う

行為でもあるので厳に戒めるべきですが、とりあえずの

診断をつけないと保険診療ができないというのも一つの

側面です。そんな実態を理解すると、幾つかの可能性を

残したまま治療を進めるのが正しい方法なのかも知れま

せんね。

    2016年2月1日 月曜日

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