院長室

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不定愁訴と人は言う

「不定愁訴」は医療関係者なら一度は耳にしたことがある

はず。そして患者さんの耳には入れたくない言葉でもある

はずですね。


愁訴とは苦しみや悲しみを訴えることで、不定とは一定

しないこと。つまり、本来「不定愁訴」は医療現場で

使用するなら「症状が一定しないこと」です。例えば、

前回受診時は腰痛を訴えていたが、今回はめまいを訴える、

のように来る度に症状が違うなんて具合です。けれども

実際には、ストレスフルで整合性のない神経症的な症状

をまとめて「不定愁訴」と表現していることが多いよう

です。


さらには検査で異常がないのに症状が強い、典型的では

ない、こんな理由で「不定愁訴」と扱われていることも

しばしば。こんなの冤罪以外の何物でもないし、言葉の

誤用甚だしいことこの上なし、なわけです。単に診断が

つけられないのを、「不定愁訴」だから「ストレス」

なので心療内科へ紹介、という診療は恥ずべきです。


ちなみに漢方薬の加味逍遙散という薬は、その名の通り

逍遙散に生薬を2つ加味したものですが、この「逍遙」

というのが症状が揺れ動く事を表しており、「不定愁訴」の

薬として有名なわけです。本来はイライラや不眠がメイン

の更年期症候群の薬、ではないんですねー。


それはさておき、この文章は「不定愁訴」を「自律神経

失調症」に置き換えてもそっくりそのまま成り立ちます。

診断名を付けないと保険診療が成り立たない日本の医療の

負の側面の一つです。

    2015年11月5日 木曜日

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