院長室

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迅速検査

栄養療法の特徴の一つが、個人の血液検査データを基に

治療方針を組み立てることです。当院でも食事指導や

サプリメントの決定には必ず血液検査を行っています。


この血液検査、広くどの機関でも受けられるものですが、

すぐに結果が出ないというデメリットがあります。我々から

しても患者さんにしても、治療の方向性は早く決めたい

ところですから、なるべく早く結果が知りたいのが本音

です。しかも項目によって結果が出るまでの時間に差が

あるので、早くても1週間、遅ければ3〜4週後にしか

結果は出ないのが痛いところです。


そんな中にあって、採血後その場で結果が出るという機械

の開発が進んでいます。これが全項目に適応されれば

かなりの時間節約になるので、とてもありがたいのです。

しかしながら現状実用化されているのはHbA1cくらい。

これは糖尿病の指標になるので、例えばクリニックで、

例えば薬局なんかでも導入を勧めるメーカーがあります。


うん、まあ、ありがたいんだけど、HbA1cじゃあねぇ、

というのが正直なところ。HbA1cを糖尿病の指標に

していたのはもう昔のことなんすよね。仮にHbA1cが

正常値でも血糖値に異常がないとは言えない、特に血糖値が

乱高下する方の場合はひどい症状が出るけど、HbA1c

はまず異常になりません。むしろ低血糖症が改善すると

上昇することさえあります。バカ高い迅速検査機を導入

しても診断や治療に直結しないんでは無意味と言わざるを

得ませんよね。


医療機器は進化していますが、それは医療の進化と歩幅を

合わせて初めて意味があります。そうするとメーカーサイド

も敏感に医療の動向を見守らなければ、数年かけて開発した

ものが全く通用しないなんて可能性もあるのです。可哀想に。


まあでもこれは医療業界に限ったことでもないですね。ニーズ

に合わせる柔軟性と、半歩先を読むセンスが商売の武器なん

でしょう。

2015年11月2日 月曜日

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