外科医が「胸を開く」と言うとゾッとしますが、これは
徒手治療家の間でもしばしば使われる表現の一つです。
「胸をゆるめる」なんかも同義語で、要は深い呼吸をする、
あるいはそうさせる手技のこと、を指しています。
胸郭周辺は自律神経の影響を受けやすい部位で、緊張して
いれば固まって自然と呼吸は浅くなり、逆にリラックス
していると弛緩して呼吸は深くなります。呼吸が浅いと
酸素を取り入れる効率も悪くなりますから、呼吸回数を
稼ごうとして頻呼吸になります。早く浅い呼吸になるわけ
ですね。
睡眠不足でイライラしてのぼせもある、なんて人はたいてい
この呼吸パターンになっていますし、日常でも焦って仕事
をしている時なんかこういう状態に陥っています。そもそも
そんな時はそれを自覚する余裕がないとは思いますが。(^ ^;)
こういう過緊張状態では色んな症状にも過敏になっている
ので治療が難渋します。そこで徒手治療などの現場でも
様々なテクニックを用いて胸郭をゆるめ呼吸を深くし、
過敏性を低下させて主症状の軽減を助ける方策が取られます。
漢方薬や栄養学でももちろん同様の考え方がありますが、
手っ取り早いのは「吐き切る呼吸法」です。口をすぼめて
ゆっくり、長く、肺の中の空気を全て出すように吐き切り
ます。すると苦しくなるので反動で一気に吸います。その時、
「ホッとする」ような感覚になっていると思います。
これを数回繰り返すと緊張がゆるむんですねー。
寒くなるとただでさえ身体はこわばってしまいます。そこに
イライラが乗っかると一気に不調になることも。寝る前や
お風呂タイム、空き時間などに上手に「胸を開いて」、
リラックスしてみましょう。(^ ^)