末梢の反対は中枢。例えば脳梗塞で手足が麻痺した場合、
麻痺という症状は四肢に現れますが、トラブルは中枢である
脳にあります。腰椎椎間板ヘルニアも下肢がしびれたり、
痛んだりしますが、原因は腰です。このように医学的に中枢
というと脳や脊髄のことを指す場面が多いのですが、今回は
そういう解剖学的な話ではありません。
症状は病院に行くきっかけとなる嫌な現象ですから、もちろん
それを取りたいわけですよね。でも何の理由もなくその症状が
出現するわけもないので、本当に治すべきは症状そのもの
ではなく、理由となっている部分です。しかしながら、いつも
理由が明らかになっているわけではないので、とりあえず
楽にする方法が必要になります。これが対症療法です。
対症療法が無駄なわけでは決してありませんが、西洋医学的な
治療の大部分はこの対症療法であることを認識しないと、延々と
薬を飲み続け知らぬ間に肝臓が悲鳴をあげる、なんてことに
なりかねません。以前シリーズで紹介した癌の治療もまさに
そういうことです。また、症状は身体の発するメッセージである
ことも多々あります。それを対症療法で消してしまうことは、
自分自身に「鈍感」になることとも言えます。鈍感になれば
さらに理由は分からなくなってしまいますよね。
なかなか血圧が下がらない、朝起きると頭痛がする、薬を飲む
と食欲が落ちる、これらは全部身体のメッセージです。なのに病院
に行って鈍感になる薬をたんまりもらう。忙しくて来院できないから、
なるべくたくさん欲しい。いや、もうそこに良くならない理由が
ありますよね。(^ ^;)少なからず心当たりのある方は、自分の
身体の信号に「敏感」になって、身体が喜ぶことを選択してみて
下さい。きっとその方が、正解の治療法だと思います。
症状はすべからく原因ではありません。つまり「末梢」の現象
です。そのサインを発する元を探っていくことが治療であるべきだし、
僕らはそこを適切にリードする役目を負っているのだと思って
います。でもそこは共同作業でもあります。患者さんにはどんどん
敏感になってもらって、気付いた身体のサインを是非教えて下さい。