漢方ではよく、冷えるか火照るか、渇くかむくむか、
などあまり症状に関係ない質問をしたりしますが、
こういう反対の性質のどちら寄りになっているか、
を重要視します。いわゆる二元論です。どちらかに
偏っていれば中間に戻すように生薬をチョイスして
いくのが治療になるわけです。
ただこれは「どちら寄りか」を見ているだけで、
「どちらが良い悪い」を判定しているわけではあり
ません。何事も表裏があるように、捉えようによって
は善の側面も悪の側面も存在するので判定などしよう
もないのですね。
翻って我々自身についても全てにおいて善悪の両側面
があるわけです。長年苦しんでいる症状にすらも見方
を変えれば善の側面があるはずです。性格なんて
そうそう変わりませんから、うまく行かないときや
苦しいときは悪の側面ばかり見てやしないかい?と
問いかけてみることです。
治療法に関してもそれぞれ得意不得意があります。
「これに効く!」なんて宣伝されているときは、逆に
「効かない病態」は何だろう?と考えてみることです。
よくいう「ポジティブ・シンキング」というのとも
ちょっと違って、自分や物事から少し距離を置いて
観察する、という感じでしょうか。善悪両方の側面が
見えてくると、意外と冷静になれるものです。