宮崎駿監督が引退された今、日本のアニメ映画の担い手と
しての責を負ってしまった感のある細田守監督最新作です。
今作でまだ4作目なのに、他にヒットメイカーがいない、
というか、タモロスならぬ宮崎ロスに陥っているアニメ
業界では何とか変わる盟主が欲しい空気が漂っているために
無理矢理に押し上げられ、結果全国民受けする作品を作る
しかなかったようなやるせなさを感じます。ちょっと同情。
前作「おおかみこどもの雨と雪」では母子のお話でしたが、
今作は父子のお話。安直〜!と思ってしまうけど、師弟ムービー
でもありバディムービーでもあるという点ではまあ幅はあるの
かな。不幸な生い立ちから孤独を感じ、排他的になった
主人公が新たに獲得する仲間達との成長ストーリーなのですが、
まあ、全ての演出が既出感満載なのがいけない。金太郎飴の
ようにどこから切っても新鮮味がないので、せっかくの
美麗なアニメも、アクションシーンもオドロキが少なくなって
しまっています。
声優陣も最近の大河ドラマ宜しく、旬の豪華俳優陣で構成されて
います。大河もアニメもこんなことしてたら新しい才能を伸ばせ
ないと思うのですが、まあ話題性がある方がスポンサーも付き
やすいでしょうから、仕方がないのかな。大泉洋ちゃんが活躍
するのは嬉しいけれど、この映画は断るべきだったような。
でもベタなストーリーを力技で盛り上げてくれた役所広司さんや、
マルチな才能を発揮し続ける宮崎あおいさんはさすがでした。
驚いたのは広瀬すずさん。何このコ?!すごいじゃん。ネット
では何か叩かれてましたが、こんなん見せられたら声優の卵達は
皆ヤケ酒でしょうな。(^ ^;)
なんかこき下ろしてますが、平均点以上の感動は得られますので、
僕の「無難嫌い」のメガネを通した感想と思ってください。ああ、
知ってますか。(笑)前作での胸が苦しくなるような感動や、
やっかみに似た誹謗はなさそうな今作ですが、多分監督自身も
ジブリ化するのは避けたいところでしょうから、次作の “とんがり”
の前フリ的位置づけ作として納得しておくとしよう。