院長室

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癌と闘う①

「癌」はとても怖いイメージがあると思いますが、実は

日本人は世界でも癌発生率トップクラスで、生活習慣病と

同じくらい身近な病気であるとも言えます。しかし生活

習慣病と違って癌と診断されれば、即ち「死」が連想され

ます。癌の早期発見が喜ばれるのは、死亡率が低いためです。


発生部位による差もあり、肺癌や膵臓癌は他の癌に比べて

平均余命が短かかったり、前立腺癌や乳癌では再発のない

まま何十年も生活できたりします。ではこれだけ癌が身近な

日本では癌治療が進歩しているかと言うと、全くそうでは

ないのが悲しいところです。


癌の治療と言えば、手術、放射線、抗がん剤です。病状に

よっては全て行うこともあります。そしてこれらでは歯止め

が効かなくなると「仕方がない」と言われ、いわゆる終末

医療を勧められます。それを一種の「終活」と言えば聞こえ

は良いですが、ひたすら副作用の強い抗がん剤を使うとか、

意識朦朧としながら麻薬で痛みをコントロールするとか、

実際に日常生活の質はかなり低下します。


癌は確かに怖い病気ですが、その性格を知って十分な対策を

講じれば、少なくとも薬に頼って生活の質を落とすことはない

と思っています。自由診療でしか認められていない未承認の

薬を保険で使えるように、との運動も見られますが、これも

上記治療の延長でしかないでしょう。


高齢者が増え、癌患者が増えるだろうことは分かりきって

います。また医療保険も危うい現状では、高額な治療は早々に

制限される懸念もあります。そうなる前に「癌」をよく知る

ことが日本の医療の将来に大きく貢献するだろうと思います。

2015年7月6日 月曜日

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