「癌」はとても怖いイメージがあると思いますが、実は
日本人は世界でも癌発生率トップクラスで、生活習慣病と
同じくらい身近な病気であるとも言えます。しかし生活
習慣病と違って癌と診断されれば、即ち「死」が連想され
ます。癌の早期発見が喜ばれるのは、死亡率が低いためです。
発生部位による差もあり、肺癌や膵臓癌は他の癌に比べて
平均余命が短かかったり、前立腺癌や乳癌では再発のない
まま何十年も生活できたりします。ではこれだけ癌が身近な
日本では癌治療が進歩しているかと言うと、全くそうでは
ないのが悲しいところです。
癌の治療と言えば、手術、放射線、抗がん剤です。病状に
よっては全て行うこともあります。そしてこれらでは歯止め
が効かなくなると「仕方がない」と言われ、いわゆる終末
医療を勧められます。それを一種の「終活」と言えば聞こえ
は良いですが、ひたすら副作用の強い抗がん剤を使うとか、
意識朦朧としながら麻薬で痛みをコントロールするとか、
実際に日常生活の質はかなり低下します。
癌は確かに怖い病気ですが、その性格を知って十分な対策を
講じれば、少なくとも薬に頼って生活の質を落とすことはない
と思っています。自由診療でしか認められていない未承認の
薬を保険で使えるように、との運動も見られますが、これも
上記治療の延長でしかないでしょう。
高齢者が増え、癌患者が増えるだろうことは分かりきって
います。また医療保険も危うい現状では、高額な治療は早々に
制限される懸念もあります。そうなる前に「癌」をよく知る
ことが日本の医療の将来に大きく貢献するだろうと思います。