院長室

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「セッション」

偉大なジャズドラマーを目指す音大生と、その教官の魂のぶつかり

合いを描いた映画、と聞くとスクールウォーズのような熱血スポ根

モノを想像し、それをジャズドラマー主役でやるってか?とそんなに

食指が動かないかも知れません。しかーし!これが山下真司のパンチ

以上のメガトン級の傑作だったのです。


先に挙げたようにストーリーは超シンプルで鬼教官のシゴキに耐え

ながら才能を開花させていくのを描いているだけですが、このシゴキ

ぶりや主人公の没頭の仕方が「狂気」じみていて拷問映画のようだ、

みたいに捉えられています。が、この映画の本質は純粋さでしょう。

天才とナントカは紙一重と言いますが、純粋さと狂気もまた紙一重

だと思うんですね。そしてこの映画の教官と主人公は極めて純粋なの

です。だから狂気のようにも見えてしまうのでしょうけど、まあ

ゆとり世代には分からん映画でしょうな。(^ ^;)


僕も学生時代は部活が武道系だったので、理不尽なシゴキもありまして

そういう経験をしている人の方が入りやすい作品かも知れません。でも

理不尽なシゴキは目標がないから理不尽に感じるだけであって、この

作品の教官と主人公のように確固たる唯一無二の目標がある場合は

不可避な選択になるのです。特に芸術の分野では個性と汎用性の狭間

で思い悩むことが多いでしょうから、このジャズドラマーを主人公に

据えたのはとてもユニークかつ正解だったように思います。…って

調べてみたら監督さんは実際にジャズドラマーを目指していたんだと。

なんだ、やってたんかよ!でも実体験だからあの迫力が出せたので

しょうね。原題は「Whiplash」でこれもまた意味深です。このままで

良かったのに。


いやーでも凄い映画だった。エンドロール中ずっと涙が流れた映画は

初めてかも知れぬ。もちろん山下真司的な涙ではなく、どちらかと言う

と極度の緊張から解放された安堵の涙だったかも知れません。あるいは

天文学的確率で出会った可能性を見せてくれた感謝の涙だったかも。

こいつ何言ってんのよ?!と思った方は是非劇場へ。数年前に「日本よ、

これが映画だ!」とかいう酔っ払って作ったような小っ恥ずかしい

キャッチコピーの作品がありましたが、今、しらふで言えます。

「これこそ、映画だ!」

    2015年5月14日 木曜日

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