先週の風の強い日以来、一気に花粉症の患者さんが増えました。
今年は例年に比べ花粉飛散量が多いとのこと、皆さん戦々恐々と
しています。
もうオンシーズンに入ってしまったら、日常生活がままならない
人も多いので、何を使ってでもまず症状を抑えなければなりません。
さすがに最初からステロイドを使うのは躊躇されますが、当然
選択肢は多い方がいいわけで、漢方薬の有り難みを感じる季節でも
あります。
だいぶ漢方の認知度も上がってきて、最近では「花粉症に小青竜湯」
は市民権を得た感があります。服用しても眠くならないので、運転
する時間が長い人には特に重宝されます。ただ実は、この薬に抗
アレルギー作用があるわけではありません。あるんならアトピーや
じんま疹にも効くはずですよね。
では小青竜湯はなぜ花粉症に頻用されるでしょうか。それは薬を
構成する生薬に目を向けてみると納得できます。小青竜湯は8種類
の生薬から構成されますが、そのうちの5種類は咳を抑える効能を
持ちます。また余分な水分を取り除く効能をもつ生薬が3種配合
され、さらに温める作用をもつ生薬も3種類含まれます。
ということは総じて小青竜湯は「冷えがあり水っぽい咳が出る人向け」
の薬だということが分かります。実はそもそも小青竜湯は風邪の薬
で、こういうシチュエーションは花粉症の時も起こり得るから効く、
というだけのことなんですね。花粉症全般に効くわけではないのは
このためです。
漢方は不思議な薬、というイメージがありますが、生薬の科学的解明
はされていないにしろ、その構成はかなり論理的なのです。