院長室

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続・どっち派

以前、糖質制限の是非について書きましたが、糖質制限とセット

で指導されるのがタンパク質摂取です。糖質過剰な人は相対的に

タンパク質不足のことが多いので、自然と「糖質制限&タンパク質

摂取励行」という流れになります。しかしながら、実はタンパク質

摂取についても賛否があるのです。僕はどっち派かと言うと…

やっぱり「どっち派でもない。」派(?)です。


タンパク質は、我々の身体を構成する細胞や、ホルモンや酵素など

殆ど全てのものの材料になります。しかも食いだめできないので、

もちろんタンパク質を摂ることは間違いではありません。一方で、

菜食主義の人はタンパク質なしでも元気にしているじゃないか、と

いう反論もありますし、タンパク質摂取で便秘になったという人

(僕です ^ ^;)もいます。するとどうしてもタンパク質摂取の

是非論が展開されることになります。


この是非論を解決するポイントはタンパク質の消化吸収の仕組み

です。糖質と違って、タンパク質は胃酸がなければ分解されません。

さらに酵素の作用でバラバラにされて初めて吸収されます。要は、

とても消化吸収に手間がかかる栄養素なのです。なので、血液

データでタンパク質不足と判定されても、消化吸収能力が良くなけ

れば頑張ってタンパク質を摂っても思うように効果が出ません。

さらに未消化のタンパク質は抗原になり得ますので、アレルギーの

原因になる可能性もあります。つまりタンパク質摂取の是非はその

量や質よりも、消化吸収能力が大きな問題点となるわけですね。


ちなみに厳格なベジタリアンは腸内での代謝の仕組みが変化して

いたりタンパク質のリサイクルが上手になるため、タンパク質なし

でも大丈夫だそうです。さらに近年胃癌の原因として有名になった、

ヘリコバクター・ピロリは胃酸を中和して胃に棲みつくので、感染

するとタンパク質分解能が落ちます。そもそも日本人は胃酸分泌量が

少ないとも言われますので、タンパク質の吸収不良は民族的な宿命

かも知れません。だからと言って精製された糖質をたくさん食べる

のはダメですけどね。(^皿^)

2015年3月2日 月曜日

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