ひたパン、つけパンの話ではありません。(笑)栄養療法で食事の
指導をしていると、どうしても糖質制限の話題に触れることが多いの
ですが、しばしば「糖質制限賛成派ですか?反対派ですか?」と
聞かれます。天の邪鬼な僕は「かめはめ派です。」と言いたくなって
しまうのですが、「どっち派でもない。」が答えです。
糖質制限はその名の通り糖質の摂取を制限する食事法ですが、制限
するということは過剰な状態があるからです。そして現代の日本人の
食事は糖質がかなり過剰になっている場合が多く、糖質制限で調子が
良くなることがあるわけです。ですから、糖質過剰になっていない人
にはもちろん適応になりません。
難しいのは糖質過剰かどうか判定することです。患者さんに聞いても、
過剰だとは思っていないことが多く、「糖質過剰ですか?」なんて
ストレートに聞いてもほとんど「うーん、多分過剰ではないです。」と
なってしまいます。細かく食事内容を聞いてもしっかり覚えていない
ことも多々ありますし、間食は食事にカウントしていないこともあり
ます。(^ ^;)見た目や問診に惑わされないよう注意せねばなりません。
血液検査のデータは客観的に評価ができるので有用なんですね。
ものすごく肥満で、食事も明らかに糖質過剰、ならば有無を言わさず
糖質制限指導でよさそうなものですが、ここも注意が必要です。それは
糖質依存度の問題です。糖質に依存していると、糖質を抜くことで
他からのエネルギー供給ができず却って不調になります。ここでも
「糖質依存はありますか?」って聞いても「ナニソレ?」で終わって
しまうので血液データから推理する必要があります。
このように一般論で善し悪しを判断するのはものすごく難しいし危険
です。TVの討論番組なんかで賛成派と反対派の対決を面白おかしく
演出していますが、あまり褒められたことではありません。やっぱり
個人の状況を把握して必要なのか、不要なのかを判断すべきです。同じ
人でも経過によって変わることもありますしね。血液検査は万能では
ありませんが、見方によっては雄弁なものです。