最近メディアでも取り上げられる機会が増えたピロリ菌ですが、
胃癌や胃潰瘍の原因になること、そして日本人の感染率が高い
ことが背景にあります。一般に中高年に多いですが、家族内で
感染することもあるので、若年者でも感染者はいます。
さて、このピロリ菌。胃癌や胃潰瘍の原因になるからコワイの
ですが、栄養療法を行う上でも大きな影響が出てしまいます。
ピロリ菌は、本来なら生物が死滅するほどに強烈な胃酸をうまく
中和して胃に棲みつきます。ですから、ピロリ菌感染者はすべか
らく胃酸の能力が低下しています。
胃の低酸状態ではまずタンパク質の分解能が落ちます。タンパク質
は分解されてからしか吸収されませんので、当然タンパク不足を
引き起こします。また分解できないので、すぐにお腹が張ったり、
便通異常が出たりします。さらに始末の悪いことに、分解されない
食材が抗原となってアレルギーの原因になってしまうのです。IgG
アレルギー検査で陽性の方はピロリ菌要注意です。
胃の低酸で困るのがもう一つ。口から入ってくる雑菌を完全に殺せ
なくなるので、腸内細菌のバランスが崩れます。これは食事の消化
吸収に影響が出るだけではなく、アレルギーの原因にもなりますし、
鉄不足の原因にもなります。ですからピロリ菌の存在下ではサプリ
メントも吸収効率が落ちるわけですね。恐るべし、ピロリ菌。
胃カメラができるクリニックなら保険で検査できますから、上記で
思い当たる方は是非検査を。僕は胃カメラができないのでウチで
検査する場合は自費の血液検査になります。(4000円)
ちなみにピロリ菌がいなくても低酸状態であれば同じ病態が起き
得ますよね。逆流性食道炎の診断なんかで、漫然と胃酸を抑える薬を
飲んでいる人、いませんか?