院長室

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瀉する補する

当然ながら東洋医学ではその診断から治療までがすべからく漢字で

表現されています。その中の治療の概念の一つとして瀉(しゃ)と

補(ほ)があります。瀉とは余分なものを捨てること、補とは足り

ないものを補うことです。たとえば便秘に対して下剤を使用するのは

瀉ですし、乾燥を潤すのは補になるわけです。


東洋医学では「気」とか「腎」とか目に見えない概念的な発想が基盤

になっているので、精神的な症状も瀉補で治療します。たとえば

「イライラ感」は「気」が溜まっているから瀉の対象になりますし、

「倦怠感」は「気」の不足から成るので補をすることになります。


東洋医学的に話すとなんか小難しく感じますが(^ ^;)、身近なところ

でもこの瀉とか補の概念はあります。デトックスなんてのは典型的な

瀉ですね。良い悪いは別として数多の栄養ドリンクなんかは補の考え方

です。「断捨離」自体は瀉ですが、「断捨離」の知識を身につけることは

補になるかも知れません。号泣県議の辞職は議会から見ると瀉ですが、

県民から見ると補なの…かな?いや、やめとこう。(笑)


これを日々の食事に当てはめると、糖質制限は瀉でタンパク質補給は補

になる感じがしますね。余分な糖分を摂らないようにして、不足しがちな

タンパク質をしっかり食べましょう、的な。ただこれには盲点があって、

不足しがちだからたくさん食べれば果たしてそれでよいか、と言うと

実はそうでもないのです。我々は消化器の具合によって吸収度に大きく

差が出てしまうからです。とくにタンパク質はアレルギーの原因にもなり

得るので、消化吸収能の落ちている人にとって摂りすぎは却って不調を

招きます。


なので食生活においては、単純に余分を摂らず不足を補う、のではなく

瀉=過食をしないこと、補=腸を整えること、だと思って指導するように

しています。

2014年8月7日 木曜日

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