今日の林家木久扇さんの喉頭癌のニュースをはじめ、坂本龍一さんや
ドクター中松さんなど、芸能人が癌を告白すると一様に衝撃が走るの
ですが、日本人の死因の第1位は癌で、その有病率も世界ナンバーワン
です。つまり日本人にとって癌はかなり身近な疾患と言えるのです。
でも癌と言われると、何となく触れがたい、気安くお大事にと言えない
雰囲気になります。これは一重に癌が死に近い疾患という認識があるから
でしょう。しかも抗がん剤などの治療が過酷で再発もあるため、不治の
病というイメージがあるかも知れません。
それでも、胃癌や乳癌、子宮癌など検診が普及したおかげで死亡率が
減っている癌もあります。癌は日本人の国民病と言っても過言ではない
頻度なので、「早期発見」のために検診がますます勧められるでしょう。
しかしこの「早期発見」が曲者です。当然早期に発見されるに越したこと
はないのですが、我々の言う「早期発見」とは検診で発見できる大きさ、
と言うだけのことで、癌の成長過程から見ると、それは既に晩期と言って
もよい時期なのです。
癌が約1cmの大きさになるには実に15年程度の年月がかかることが
分かっています。癌が小さいうちに発見され、完全に除去できたとしても、
それまでの15年間の増大因子が変わらなければ、また再発することも
容易に想像できるでしょう。正常人でも癌細胞は毎日作られているという
ことも明らかになっていますから、癌になる人はこれを消去する力が
足りないと言うことになります。この力が巷でよく言われる抗酸化力です。
この抗酸化力の低下は生活習慣病の根本に近い原因と言われていますから、
癌も実は生活習慣病と言えるかも知れません。先日、認知症も生活習慣病
である、と言う番組がやっていましたが、難治と言われる病気ほどその原因
は生活習慣に根ざしているように思います。そんな意味でも癌は身近な疾患
と言えるのではないでしょうか。