院長室

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感染性胃腸炎

ノロウィルスの感染拡大が新聞でも話題になっています。突然の下痢や嘔吐で

発症するのが特徴で、その感染力は強く患者の吐瀉物から空気感染もするので

介護の現場や入院施設がある病院では一気に感染が拡大する傾向があります。


予防法はメディアで取り上げられている通り手洗いやうがいが基本で、あとは

塩素系の洗剤などでの消毒を併用すること、汚物処理はマスクをして使い捨ての

手袋を使うこと、などです。


ではもし罹患してしまったら…。基本的にウィルスに対抗する薬はありませんので、

対症療法に終始します。激しい嘔吐や下痢によって、脱水症状になりますので

点滴で十分な水分を補給することが重要です。あとは吐き気止めや下痢止めの

併用、くらいでしょうか。一般的には3日くらいで軽快するので、命を落とすこと

少ないとされてきましたが、今年の猛威っぷりは恐ろしく、既に何人もの方が

亡くなっています。そうするとやはり罹患した際の治療法はもっと選択肢がない

といけないと思いますね。


そこで意外と良いのが漢方薬です。どうも漢方薬は「ゆっくり長く効く」的な

位置づけで考えられることが多いようですが、薬によっては西洋薬よりも早く

効きます。急性の胃腸炎の場合は水分バランスの崩れと腸管の炎症が症状の主態

ですから、それらを緩和できれば十分対症療法として成り立ちます。具体的には

五苓散と半夏瀉心湯です。五苓散はもう何度も登場している水分調整の薬ですが

胃腸炎の嘔吐下痢にも効果があるんですねぇ。半夏瀉心湯は腸管全般の炎症に

使える便利な薬で味はひどいですが(笑)、重宝する薬です。


嘔吐が激しくて内服できない場合は、肛門経由で腸に直接注入しても効果があります。

大人にはなかなかできる処置じゃないですが(^ ^;)、子供はもともと漢方薬が

飲めなかったりするので、小児科の先生は結構この方法を採用しているようです。

この季節、冷えや乾燥だけじゃなく胃腸炎にも漢方薬は活躍しています。

2012年12月27日 木曜日

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