30年くらい前に実際に起きたイランでのアメリカ大使館占拠人質事件
を元にしたサスペンス映画です。極秘事項であったのをクリントン大統領
時代に解禁して周知の事件となったそうです。
占拠された大使館からなんとか逃げ出してカナダ大使館にかくまわれた6人
を救い出すというストーリーなんですが、その方法がまたなんとも凄い。
架空の「アルゴ」というSF映画をでっち上げて、その制作スタッフと偽って
6人をイランから脱出させるというもの。これが実際に実行されるところが
またアメリカという国なんでしょうな。
主演、監督は今作で監督3作目となるベン・アフレック。前作「タウン」
でも割といい演出をしていたのですが、どうも真面目すぎるというか
誠実さがあだとなっているというか、素材はかなりいいのに突き抜けた
面白さがない。今回、ニセのSF映画作成ということで、ハリウッドの裏話的
な要素もあって、ブラックで皮肉が効いたシーンが多いのですが、そこでも
どうも悪者になりきれない感があって、剣道で言うところの「浅い!」
みたいな判定になってしまいます。(わかりにくい? ^ ^;)
とは言え、映画としては十分に合格点です。30年前を再現するために様々
な工夫がされており、本当に違和感なく当時の雰囲気になれますし、事件
そのものの描写もとてもスリリングで良い。エンドロールで当時の本人の
パスポート写真が紹介されますが、俳優陣達のそっくりぶりが笑えます。(笑)
ベン・アフレックはイイ男過ぎて、30年前の人物にはあまり見えず、ここでも
浮いてしまっている感じがして損してます。
監督でも十分な力量を見せつけるベンさん、題材も演出もウマイんで器用貧乏
が心配されますが、次回作も期待大です。(^ ^)