テレビドラマでちょっとヒットすると忘れられないうちにと
最終回でいきなり「映画化決定!」みたいな余韻をぶち壊す
マネをし、公開後見事にズッコケるという悪習がのさばる
邦画界ですが、この「臨場」は違いました。
内野聖陽のハマリ役となった検死官が主人公のサスペンスもの
ですが、テレビシリーズの時から一貫して重厚なストーリー
と明確なテーマに重きを置いていた作品で、しかも俳優陣が
上手だったので、毎週楽しみにしていました。
派手なアクションやドンデン返しといった飛び道具のない作品
で、果たしてどう劇場版を仕上げるのか、興味半分不安半分で
したが、見事に「臨場」らしい具合にできあがっておりました。
劇場版は外伝的な扱いになることが多いですが、本作はしっかり
本編としてストーリーが進行するので、テレビシリーズからの
ファンは必見と言えます。反面、セカンドシーズンまで作成された
人気作ゆえ、一見さんは多少厳しいかも知れません。もちろん
ミステリとして楽しむ分には特に問題はありませんが、人間関係
や劇中必ず出る決め台詞(笑)はファンだからこそ受け入れられる
というものです。
今回のテーマは刑法第39条、心神耗弱者の犯罪は無罪にする、
というとても2時間で解決できないような重い問題です。実際、
うまいこと逃げてしまった感があり、その部分は消化不良でした
し、演出的にベタな部分もあり、決して満点な作品ではないですが
レギュラー陣に加え、長塚京三、若村麻由美、平田満、といった
名優が迫真の演技を見せてくれます。大がかりなロケをすること
が映画化だと思っている邦画界にとっては意味のある作品です。
そうそう、エンドロールの後にワンシーンありますので、観に
行かれる方は、どうぞ劇場が明るくなるまでお席でお待ちください
ませ。(笑)
あと作品の性質上、一部グロいシーンがありますのでご注意を。