梅雨入りした割には晴れたり寒かったりと、なんかペースを
崩され気味ですが、そのせいか今年はまだ得意の(笑)五苓散
を使う症例が少ないように感じます。
その代わりという訳でもないんでしょうが、胃腸障害の方が
多い傾向です。これから夏ばての季節にもなっていくので、
胃腸症状を短期間で治せるかはウデの見せ所でもあります。
一口に胃腸症状と言っても胸焼けから胃痛、便通異常まで、
そりゃもうバラエティに富んでいます。漢方的に胃腸症状と
戦うときはやはり症状よりもその裏にある“証=状態”を見極める
のが大事です。冷えているのか熱いのか、気の異常なのか水の
異常なのか。同じ症状でもこれらの差によって使う薬は違って
きます。
日本は湿気が多い国で、勤勉な民族性なので、「気+水+寒」に
異常がある方が大多数を占めます。この中で気の異常が強ければ
補中益気湯(ホチュウエッキトウ)、水の異常が強ければ六君子湯(リックンシトウ)、
寒が強ければ人参湯(ニンジントウ)、と言った具合に使い分けます。
そもそも胃腸症状がある場合は、消化吸収能が低下していますから、
薬の効き方も悪くなります。ですから、たとえ腰痛の患者さんでも
胃腸症状があればまずはそちらを治すのが優先されるんですね。
そして忘れちゃならないのが栄養です。薬が吸収されて各臓器に
運搬されるためには、たいていの場合専用のタクシーが必要です。
そのタクシーの正体は蛋白質です。ですからここでも蛋白質摂取を
怠ってはいけないのです。
まあ胃腸が弱ってる時にステーキは無理がありますから、納豆や
豆腐、卵料理で補給するのがいいでしょうね。オススメは鰹節です。
味噌汁や冷や奴など何にでも振りかけてこまめに蛋白補給を!