足りない栄養を見いだして補っていくオーソモレキュラー療法は
体を造りかえることのできる素晴らしい治療法ですが、その軸と
なるのは何が足りないかを見つけるための「栄養評価」です。
この評価は採血データで行うのですが、これを患者さんに説明する
のが実に難しい。
と言うのも、医師も患者さんも基準値=正常値と思ってしまっている
からです。採血の検査結果には必ず「基準値」が掲載されていて、
その範囲から外れると“High”とか“Low”のマークが付いたり、色が
変わったりしますよね。それらを頼りに我々は話を進めるんですが、
オーソモレキュラー療法ではこの基準値を採用しません。
僕がこの治療法を学び始めた時、まずびっくりしたのはこの基準値の
決められ方です。この基準値というのは検査会社の社員の血液データの
平均値から作られたものなのです。びっくりじゃない?!
仮にその会社の社員全員が極度の貧血だったら、ヘモグロビン10未満
でも基準値になってしまうのですから。
ですから、オーソモレキュラー療法では「症状が出始める値」を設定
して、その人の検査結果がセーフなのかアウトなのかを判断します。
患者さんに採血してもらって、まずは基準値がアテにならない、ってこと
から理解してもらえないとオーソモレキュラー療法的な解説ができない
んですよね。
「基準値に入っていても実は安心はできないんですよ。コレとコレは異常です。」
「え?!今まで何も言われたことありませんよ?!」
「それは全て基準値が正常値だと思い込んでいたからです。」
「え?!でもこの前の健診でも全部A判定でしたけど?!」
「その基準値も同様にアテになりません。」
「え?!じゃあ私は異常なんですか?!」
「もしかすると不眠の原因も栄養の偏りかも知れませんよ。」
「え?!私、栄養不足なんて言われたことありませんよ?!」
…以下、上段に戻りループ…(シクシク)
最近、診察室ではこんな攻防(?笑)が繰り広げられておりマス。(^ ^;)