漢方では症状治療のことを標治(ひょうち)、根本治療のことを
本治(ほんち)と言います。漢方薬は「体質改善」がよく引き合い
に出されるので、本治が得意だと思われがちです。
もちろんこれは間違いではありませんし、標治一辺倒の西洋薬に
比べて優位な部分でもあります。で、速効性を求めるのであれば
やはり西洋薬、となることが多いです。
しかし実は意外と速効性を発揮する場面もあるんです。それが
現在真っ盛りの花粉症シーズンです。何と言っても有名なのは
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)ですね。市販もされています。これは
「透明な鼻汁や涙、くしゃみ」を主症状とする場合によく効きます。
また眼や鼻の充血、かゆみが主症状の時は越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)
が良いです。冷えがある人には麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)が
よく選択されます。
これらに共通するのは麻黄(マオウ)という生薬です。これが鼻汁や
鼻閉、咳、流涙などに効果があるからなんですが、要は抗炎症作用が
あるわけですね。ですから麻黄を含む漢方薬は総じて急性期の諸症状に
使用されるわけです。上記以外にもたくさん麻黄を含む漢方薬はあります。
例えば有名な葛根湯も麻黄を含みます。だから風邪に効くんですね。
漢方薬は最初はその名前と効果効能を覚えるだけでいっぱいいっぱい
なんですが、慣れてくるとその生薬構成から薬の性格が分かるように
なります。初めて見た薬でも、その生薬構成が分かればだいたいどんな
場面に使用できるか分かるんですね。手相を見て性格を当てる!みたいな。
(違うか。^ ^;)
では、麻黄だけでいいじゃん、となるかと言うとそうじゃないところが
漢方薬の謎なんですね〜。その他の生薬が一緒になって初めて最大の
効果を発揮するんです。キムタクだけではSMAPのコンサートを満員に
できないようなもんです。(うん、これも違うか。笑)
奥が深いです。